有名な写真家さんから「感性」について、お話をお聞きしました。
感性には2種類あります。
「受け取る感性」 と 「伝える感性」
写真には言葉がありません。
だからこそ、この両方が備わっていないと良い写真は撮れません。
食の世界でお仕事をする方々にも、この両方の素晴らしい素質を持っている人がいて、芸術性の高さに驚かされる事が多くあります。
今日はそんな素晴らしい感性を持つ料理人の一人、カンテサンスの岸田シェフのお料理をご紹介しましょう。
11年連続、ミシュラン三つ星を取られているお店です。
彼のお料理は、プロデュイ(素材)を生かし、レストランでしか食べられない、その一瞬の美しさとはかなさを表現しているものばかりでした。
でも、インスタ映えするのは2、3品。
ガラスの器に茶色の料理、白いお皿に白い料理・・・もし「食べログ」に掲載されたら、これのどこがいいのよ!
って、コメントが付くかもしれません。
ですが、
口にした時の高揚感、皆をトロけるような幸せな気持ちにさせてしまうお料理なのです。
浦和で野菜を育てていても実感するのですが、
一年中スーパーに並んでいる野菜であったとしても、種から育てると旬は短く、個体差はとても大きいものなのです。継続してレストランへ提供するために、複数の農家さんが時期をずらしながら、野菜を育てていますので、同じ野菜だと思っても、隣の農家さんが作っていれば土も違いますし、肥料も違います。
だからこそ、レストランで「最高の味」と感じさせるのは、実はとても難しい事なのだと、思うのです。
レシピという「道しるべ」があったとしても、毎日届く食材は味が異なります。素材に合わせて塩を調節し、火入れをコントロールしないと、お客さまを感動させられる味は表現できません。料理は毎日同じものを作っているようで、実は日々作業が変わります。
瞬間の芸術・写真と同じように、毎日届く食材をよく観察し、調理して表現をしなければなりません。
そして、カンテサンスにはサーヴィス世界チャンピョンの宮崎辰さんがいます。フランス料理文化センターの拠点である「厨BO!SHIODOME」でトレーニングをしていた頃から、彼を知っていますが、ますますカッコ良くなって、カンテサンスの司令塔として、素晴らしいサーヴィスで楽しませてくれました。
お料理は全部で 8品、デザートは4品です。
写真も全てありますので、ご興味がありましたら、facebookもご覧ください。
Facebook (写真)
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Quintessence 2018年2月メニュー
sablé avec marcassin 島根産うり坊のビスケット
Soupe de Lotte de mer 鮟鱇(アンコウ)と小松菜のスープ
Assaisonement 塩とオリーブ油が主役 山羊乳のパヴァロワ
Crêpe avec Foie gras フォアグラのクレープ 鴨とノワゼットと共に
Puntarella et Jambon Iberico イタリア産プンタレッラとハモンイベリコベジョータ
Trippe et Hyuuganatsu トリップと日向夏 シャンパンヴィネガーの香り
Chevreuil Rôti 蝦夷鹿の3時間ロースト
Sorbet de Crème au citron et Kaki クレームシトロンと干し柿のソルベ
Gateau Fraise 苺のショートケーキ
Clafoutis 焼きたてのクラフティ
Glace Meringue メレンゲのアイスクリーム
カンテサンスの特徴は
素材の味を最高の技で引き出しつつ、組み合わせの妙も楽しませてくれること。意外性と、相性の良さ、その両方を兼ね備えています。
写真家さんは、面白いものを2つ入れ、中心点は2つ作るそうです。
1つだと美しさに欠けるからだと。
岸田さんのお料理は、まさにこの定石通り。
どのお皿にも二つの面白い食材と、組み合わせで
期待を超えていくお料理ばかりでした。
また、丸いものは優しく、四角いものは尖った感じで表現をして
食べている人を裏切らない。
こうあって欲しいと願う味、食感を見事に再現していました。
なかなか予約の取れないお店ですが、またチャンスがあればぜひ伺いたいと思っています。