野菜を使った素晴らしいフランス料理で、多くの美食家を魅了しているジルさんと、田代シェフ。
20年間親友として交流をされているお二人だからこそ実現できたFFCCグランシェフセミナーの報告です。
フランス料理文化センターの特別料理講習会
ジル・トゥルナードル シェフ『ジル』☆☆
田代和久 シェフ『ラ・ブランシュ』
私の元職場、東京ガス業務用ショールーム「厨BO!SHIODOME」で行われました。
FFCCで開催するフランス料理のプロ向けセミナーは20年以上の実績があり、調理実演と細かいレシピ、日本語の解説付きで、ほぼ全メニューを試食できます。年数回行われるプロ向けのグランシェフセミナーは、アミティエグルマンドの会員になれば、案内が送付されます。
このお二人は20年来の友人で、最初の出会いは、ダニエル・ブシェさん「トゥールダルジャン」がジルさんを田代シェフのお店「ラ・ブランシュ」に連れてきたことが始まりだそうです。
並ぶとどこか似ている優しい笑顔のお二人は、野菜やビネガーを使うのが好きな事が料理の共通点。日仏の国境を越えて、お互いに尊敬しあい、食材を紹介し合う仲として友情を深めていったそうです。
セミナーの最中でもお二人の掛け合いから、食材の情報交換やお互いにそれをどの様に使うのか、アイデアを交換し切磋琢磨していく友情はとても羨ましく、どちらも人気店になる理由がよく分かります。
先日、田代シェフがフランスで行った賞味会の後、ジルさんから田代シェフへネパールの香り高い胡椒「ポワブル・パンプルムース」がプレゼントされたそうです。今回はその胡椒がアクセントで使われておりました。
講習会のレシピ
田代和久シェフ
ナスのマリネ セップのカプチーノ
柔らかい茄子に合わせるコンディメントは梨のシャキッとした食感とディルの香り、福島県の大きな牡蠣が絶妙なコラボレーション
サワラのミ・キュイ ビーツのヴィネグレット
独特の香りが出るサワラの皮。それに合わせる福島の野菜の選び方、ビネガーの利かせ方に新たな発見があったことをお話くださいました。
ジル・トゥルナードルシェフ
鳩のルーアン風
鳩の下準備から丁寧に作業手順を実演してくださいました。火入れは湯煎。芯温が57℃になるまで火入れするのは、人の口に入れた時55℃で温かいと感じるからだそうです。肉を口に含めた瞬間にとろける様な火入れをするテクニックは最近のフレンチで多くなってきました。
りんごのアマンディーヌ
りんごのガルニチュールは皮ごとスライスしてシロップ液と真空パックに入れてフランスから持参。100℃のオーブンで25分間火入れするだけで、白くてとても綺麗な飾りになりました。
ノルマンディ農家出身のジルさん、福島県生まれの田代さん、二人とも自然豊かで、食材宝庫と言われる地域で育ったので共通点が多く、それぞれに大切な個人的な思い出が料理に現れていました。田代シェフはサワラにビーツや赤豆、柿、蜜柑など、彩りよく福島の野菜やフルーツを合わせお料理。ジルシェフは鳩(Pigeon)にちりめんキャベツや菊芋、フォアグラでノルマンディの美味しさを表現。りんごのアマンティーヌはソルベ、ガルニチュールの食感の異なる2種類を可愛らしく盛り付け、りんごの産地ルーアンをご紹介くださいました。
盛り付けや、火入れ、使っている香辛料など
昔のレシピと今のレシピは違っていますが、
同じ構成要素を使う事で、美味しいお料理になるそうです。
喩えて言えば、建築家が建築基準法に沿って土台をきちんと作っているので、上のデザインを変えても大丈夫という事。伝統のフランス料理を大切にしながら、個性豊かな表現をされているお二人のシェフに会場からは大きな拍手が送られました。
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