昨年の秋、パリで有名なオーガニック朝市ラスパイユ・ビオ「Raspail Bio」へ行ってきました。
ラスパイユ大通りのシェルシュ・ミディ通りとレンヌ通りにはさまれた区間の道の中央がプラタナス並木の緑地帯になっていて、おしゃれな6区の住人が毎週楽しみにしている朝市です。
キリスト教の国なので安息日である日曜日の朝はお店がほとんど閉まっているですが、ここを訪れた11時すぎは、早朝の日曜礼拝を終えた人が集まり始め、買い物客がたくさんいました。
野菜やお肉、チーズなどのオーガニック食品だけではなく、生活で使う様々な商品が売られています。
無造作に置かれた色鮮やかで新鮮なトマト、ニンジン、ナス、ズッキーニ、玉ねぎ、インゲンなど、驚くのは野菜の種類の多さです。
フランチェスコレタスや、フェンネルの茎、ローリエやオレガノ、セージなどの生のハーブ類も豊富です。木箱の置き方もアートを感じます!
魚屋も人気で、日本と違ってパックに入っていません。ほぼ丸のまま過剰包装をせずに、陳列されています。使い捨てビニール袋、プラスチックは禁止。おしゃれなカゴやエコバックを持って、みなさん買い物をしています。
タマゴ屋さんや、肉屋さんで長い行列があり、男性も多く、皆さん順番に並んで購入しています。街中でも時々人気店の行列を見かけましたが、パリジャンは日本人と同じで、行列好きなのかもしれません。
午前中、お店の人と会話しながら、野菜や肉を買って、週末はたくさん料理を作るのでしょうか。市場が近くにある暮らし、本当に憧れます。
とはいえ、こんな暮らしに憧れるのは、環境や食の安全に関心のあるごく少数派と思っている方が多いのでは無いでしょうか。
市場としての賑わいや、売っている人たちとのコミュニケーションは楽しいのですが
「オーガニックは、本当に信頼できるのか?」
と疑っている人も多いと思います。
実は、オーガニック先進国といえば1位が米国、2位がドイツです。現在3位のフランスの15年前はオーガニックを食べたことが無い人が約半数でした。ところが、近年消費者の意識が大きく変わってきています。
パリではオーガニックを毎日購入できるスーパー、ビオセボン、ナチュラリアや、百貨店ボンマルシェの食品フロア、比較的低所得者層が利用しやすいヌーヴォー・ロバンソンなど、様々な層がオーガニックスーパーで購入して日常利用しています。
有機農業を推進するフランスの公的機関「アジャンス・ビオ( Agence Bio)」の報告では、2016年の調査で、フランス人の約7割が定期的にオーガニックを食べている驚きのデーターまであるそうです。
一方、日本人で定期的にオーガニックを食べている人はまだ数%でしょう。しかし、米国、ドイツ、フランスからビジネスや観光で来日する人たちは、日本でもオーガニックを選んで食べるため、彼らをお客としている都心部のレストランでは、メニューの中に揃える所がでてきました。
海外製品のオーガニックも多いのですが、国産オーガニック冷凍パンを販売しているシロクマベーカリー さんは、フレンチのアイアンシェフ須賀洋介さんのお店「SUGALABO」で使われたり、新宿駅バスタに最も近い、小田急センチュリーホテルさんのメニューにも使われ、人気がジワジワと上がってきております。オーガニックはエネルギーや環境問題ともセットで考えて行くべき課題であり、その地域で美味しくて安全な農作物を作る人たちの活動を支援する取り組みを応援する活動が増えていると実感するこの頃です。