種苗会社の本社って、何か面白い物でもあるの?と言われてしまいそうですが、これが驚くほど興味深いお仕事風景を見ることができたので、ご紹介します。
イタリア・プーリアから来てくださったジョバンニさんと、広尾の人気イタリアン「アンティキ・サポーリ」山崎大輔料理長、二人の料理人さんも、あまりの面白さに30分の見学時間が1時間半に延長するほどでした。
100周年記念事業で建てられたコンクリート打ちっ放しの社屋の中では、白いおしゃれなデスクで仕事をする社員さん約50名。私たちが入ると、皆さん笑顔で挨拶してくださいました。約30名は営業などのため、別の場所で仕事をしているそうですが、こちらの本社では約80名が働いているにもかかわらず、日の差し込む明るいオフィスはゆったりとした環境でした。
2週間ごとに席が変わるシステムなので、所定のロッカーに入らない資料は溜めない。会議もフリースペースで行うなど、効率重視。さいたま市内で、最先端のカッコイイ職場環境は総務関係者の方も必見です。
扱っている商品は小さな種のお仕事ですが、世界中で売れるので、お仕事はグローバル。さらに、本社内に研究施設があり、発芽率のチェックや、異物除去と種の数を数えるマシンによる品質管理など、細かい仕事もされていました。
さらに笑えたのが、種の袋のネーミング。
生産者が付ける名前は決められませんが、種の名前は自由に決められるそうで、ネーミングセンスが冴えています。例えば、埼玉県が全国1位の生産量を誇る小松菜の種はこんな名前で、一度聞いたら、忘れられません(笑)
「春のセンバツ」春先から秋まで広く撒けるコマツナ
「夏の甲子園」ゲリラ豪雨に負けず、高温期のコマツナ
「秋冬のエース」低温期に生育する暮出し用の中早生コマツナ
また、野菜は農家さんだけが作っていると思ったら大間違い。種の発芽率や、商品の品質が、売価につながるため、種苗会社を選ぶことは、経営に大きく影響します。
一方、種苗会社の経営にとっては、どの野菜のタネを開発するのか?という課題に対して、国内だけではなく、イタリア等の海外現地法人・試験場でも試験や調査を実施し、世界各国のニーズを確認しており、いち早く儲かりそうな野菜の種や、他の生産者と時期をズラして収穫できるような種を提案。農業経営がプラスに働く様な新しい品種の改良に取り組まれていました。そんな種苗会社の研究や、地道な検査のご努力は、思わず聞き入ってしまう迫力がありました。
もちろん、イタリアのプーリア料理を作っているアンティキ・サポーリにとっては、現地と同じ野菜が東京近郊で収穫できることで、ほぼ同じ料理をお客さまに味わっていただくことができるのです。彼らの料理に対しする飽くなき探究心と、種苗会社の研究の熱意は一致していて、とても勉強になったと喜んでくださいました。
プーリア野菜料理で人気野菜「プンタレッラ」「青いトマト」のタネは作られていないそうで、早速リクエストもしてみました。イタリアや、加須の試験場で試験を行い、ニーズが高いと判断されれば商品かされるそうです。料理人が欲しい野菜をただ作るだけではなく、生産者の利益につながる大事な部分を担っているので、料理人、野菜農家、種苗会社の三方が協力して行くことで、美味しい料理を作り上げる仕組みが成り立っていることを教えて頂きました。
東京で、イタリアのプーリアのレストランでほぼ同じ味が楽しるように、これからもぜひ情報交換をしましょう!とお約束して、若い料理人さんのキラキラ輝く瞳に、案内係の私もとても嬉しく思いました。
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