伊勢志摩サミットの国際メディアセンターで、おもてなしとして採用された「おしぼり」。飲食店で手を拭う用途だけではなく、最近は「アロマ」や「抗ウィルス」の高付加価値「おしぼり」があることはご存知でしょうか?
FSX株式会社(旧社名:藤波タオルサービス)は1967年創業で、2代目社長の藤波克之さんが文教都市国立でビジネスを拡大しています。先日、会社訪問してお話を伺って来ましたのでご紹介します。
すらっとした長身で、都会的な藤波さん。ご趣味は読書とピアノと伺い、納得してしまうような爽やかな方です。
でも、先代社長お父様の後継者としてNTTを退社し、おしぼり屋の仕事をスタートした時、周りの方からの反応はとても冷ややかだったそうです。
「なんだ、おしぼり屋かよ。」「ヤクザな商売やってんな。」
そう言われて、藤波さんは、おしぼり屋のイメージがかなり悪い事を知ります。
しかし「おしぼりは世界に誇るおもてなしのツールになるはず」とビジネスを展開。イメージ払拭のため、広報発信に情熱をかけて行きました。例えば、社員さんでプロカメラマンを目指していた運転手さんがいて、その人には社内で写真スタジオを作り、綺麗な写真を撮ってもらいホームページに掲載。また、漫画志望の社員にはおしぼり漫画を執筆依頼。それが、マスコミからの取材殺到、女優がドラマ撮影にくるなど、世間からの熱い注目を集めたそうで、気になる方はぜひ下記のサイトでご覧ください。普段漫画を読まない私でも、面白くて、ついつい仕事を忘れて読み続けてしまいました。おしぼり屋さんについて学ぶのも仕事だから…なんて言い訳(笑)
さらには、自社でおしぼり通販サイトも作成。
日本最大級のおしぼり通販サイト「e-SHIZAI」はおしぼりだけではなく、飲食店などおしぼりをお使いのお客さまが買いたいと思う消耗品が購入できる人気サイトに成長。
まるで、ブランドマーケティングの教科書の様なお話ですが、全て実際に藤波さんや社員さんが取り組まれた事だそうです。
貸しおしぼり産業は差別化が困難で、価格だけで決められてしまいます。97年当時400億円規模だったのが、2016年は200億円規模に半減。過当競争が熾烈になり、他事業への転換を余儀なくされる事業者も増えていきました。しかし、藤波さんはおしぼり屋という本業を離れることはなく、世界に通じるおしぼり屋を目指そうと事業を推進して行きます。業種を変えるのではなく、業態を増やす事で、売上を2005年から2017年の12年間で、約2.5倍にしたのです。
その道のりは、相当な苦難があったとお聞きしましたが、この新しい経営理念(Mission)の再定義により、世界が開けて行きます。
「新しいおもてなしの感動を想像し、世界中に笑顔をお届けします」
この宣言通り、大連物流センター、ハノイオフィス、香港法人、アメリカ法人を作り海外展開。また新用途開拓では、手指衛生市場+おもてなし市場を狙い、新商品を開発しました。
「手指衛生市場」では、おしぼり自体にウィルスを寄せ付けないブロック機能を持たせたVB特許技術を用いたポケットおしぼりを販売。これは慶應大学と東京工業大学で共同研究したもので、抗ウイルスの水溶液「VB」を染み込ませた手指衛生できるおしぼりです。インフルエンザにも効果があるそうで、医療現場や美容業界、受験生やスポーツ選手など、体をケアしなければならない人にぜひ使って欲しい高付加価値のおしぼりです。「おもてなし市場」向けには、使い捨てタイプのアロマおしぼりが7種類。こちらは、高級化粧品店や、IT企業、レストラン、ショールーム等で採用されていますし、個人で購入する方も多いそうです。私は友人のホームパーティで手土産に持参しています。美味しいものを食べる時、ちょっと気の利いたプレゼントになり、こんな暑い日は冷凍庫で凍らせて、冷たいおしぼりを出すと喜ばれます。デザイン性に優れたおしぼり冷温庫「REION(レイオン)」は独自開発の特許技術で、従来より急速で冷却、加温ができ、省エネ性が高く、すっきりとしたデザインです。
こんな、新しいおしぼりのブランドを目指しているFSXさんに注目が集まっています。
Facebookに写真を掲載しましたので、合わせてご覧ください。