北海道視察は「国産小麦で美味しいパンを作る」をテーマに、1日目はオーガニック小麦農家の田中さんと江別製粉、2日目は小麦の伝道師と言われている佐久間さんのご紹介で、美瑛ファームと美瑛選果を訪問、JAびえいの浦島さんにお話を伺いました。
政府が買う農作物だった「小麦」ですが、ユーザー側から「産地、生産者、品種、製法」等で指名買いができるようになり、美味しくて行列のできるパン屋、うどん屋ができているのは皆さんよくご存知の事と思います。
野菜のように、生産者からユーザーが直接購入のできない小麦は、様々な人の手を渡ってはじめて私たちの口に入ります。小麦→小麦粉→パン、その一連の加工過程で関わる全てのパートナーが、情熱を持って、完璧な仕事をしているからこその美味しさなのですが、それが国産の場合、実現できるルートは少なく、今回成功していると言われている皆さんのお仕事を拝見し、インタビューすることができ、改めてその凄さ実感できました。
銀座で人気の食パン専門店「セントル ザ・ベーカリー」
行列の絶えないこのパン屋さんは、バゲットの人気店、VIRONのオーナー西川隆博さん(株式会社ル・スティル)が経営しています。そして、西川さんは兵庫県のパンメーカー「ニシカワ食品株式会社」の三代目でもあり、西川さんのお父様・西川隆雄さんは、全日本パン協同組合連合会(全パン連)の会長です。全国のパン屋の経営者、そしてパン屋で働く全ての人たちが、頑張ったら報われる仕事にしたいと思い、そのビジネスのお手本として高品質高価格路線のベーカリー業態「ブーランジュリー・パティスリー・ブラッスリー VIRON」を東京・渋谷、丸の内に開設する等、クオリティー日本一を目指した新しいパン屋ビジネスは、日本全国の各地域で頑張っているパン屋さんの憧れ的存在です。
また、西川さんは2008年に美瑛ファームを設立。美瑛産の小麦「ゆめちから」だけではなく、牛乳、バターも美瑛から仕入れられる様にしました。お店で提供される牛乳、バターも美瑛産で「美瑛ファーム」で作られています。美瑛から「セントル ザ・ベーカリー」へ出荷されている小麦は、江別製粉で製粉されています。
江別製粉は、小ロットで品種・生産者別に製粉できる製粉機があり、パン屋さんのオーダーに合わせて小麦粉を販売することができます。
2018年7月18日(水)
JAびえい(美瑛町農業協同組合)
代表理事専務 浦島規生さんのインタビュー
西川さんが美瑛の小麦を使う様になって、美瑛が大好きになり、とうとう国産の美味しいパンを作るために、高タンパクの麦が欲しいと言い始め、私(浦島さん)が西川さんとお話しして、小麦を作ることになりました。タンパクが多ければ多いほど、パンが引っ込まないので、もっちりとして、ふわっとしたパンができます。そこで、北海道農業研究センターが育成した「ゆめちから」が高タンパクでパンに最適だったので、これを美瑛で生産し、江別製粉で粉にしてセントルベーカリやVIRONで使う事になりました。
*ゆめちから
2009年(独)北海道農業研究センター育成
たんぱく量が多く、グルテンの質が強い「超強力」小麦。2012年産から一般栽培が開始された。
*江別製粉のf-ship 小型製粉プラント
美瑛から「セントル ザ・ベーカリー」へ出荷されている小麦(ゆめちから)や、「シロクマベーカリー」の原料、新篠津村のオーガニックファーム田中さんの小麦(はるきらり)は、江別製粉で製粉されています。江別製粉は、小ロットで品種・生産者・栽培方法を限定したオリジナルの小麦粉の生産が可能です。
今年の小麦は、もうすぐ1週間後(7月下旬)に刈り取りが始まり、収穫して、国道沿いのサイロに入れます。秋、今年収穫した小麦で美味しいパンが食べられます。
日本人にとっては北の国からで有名になった「富良野」の方が有名かもしれません。でも、観光PRの写真は、実は美瑛の写真が使われているそうです。「美瑛」は海外からの観光で有名になり、食べ物も美味しいに違いないという良い印象を受ける田園風景でした。
実際に私たちが「美瑛」で車窓から見る景色は、広々とした丘の景色が美しく、外国人観光客や、写真家が多く訪れていました。
観光と美味しい小麦の産地「美瑛」へ、来年も伺いたいと思っています。
Facebookに写真を掲載しましたので、合わせてご覧ください。