9月はインプットのため、旅をし、北米の食トレンドを視察しました。
その中でも、一番印象に残っているのはサンフランシスコの中心部から1時間くらいの場所にあるバークレーの住宅街にある、世界的に有名なアリスウォーターのお店「シェ・パ・ニース」です。お店で働いていた友人の紹介で、日本食研の駐在員として働かれているご夫妻とご一緒し、シェフパティシエのERIKOさんにお会いして来ました。
Chez Panisse (シェ・パニース)
カリフォルニア州バークレーにある木造の民家を改造したレストラン。アメリカで最も予約を取るのが難しいと言われる。コンセプトは「自然と人間に優しい農法で育てた地元の新鮮な食材を使う」こと。季節ごとの地元の味や香りを料理に取り込み、オーガニックにこだわるという、従来のアメリカのレストランになかった新しいトレンドを生み出した。
1517 Shattuck Ave Berkeley, CA 94709
(510) 548-5049
アリスウォーターが提唱した「美味しい革命」の考え方は、新しいトレンドではなく、訪問したサンフランシスコの当たり前の食の哲学として多くの人の共感を集めていました。
<食卓から始まる、平等で平和で持続可能な未来への取り組み>
・生産者から買う食材
ファーマーズマーケットで生産者さんからとびきり美味しい野菜を買うことができたら、もう半分料理は終了。
・インスピレーションで料理
良い食材と五感を働かせれば、簡単な調理でも抜群に美味しい食事に
・家族や友人との食卓
一人で食べる食事ではなく、美味しさを共有しましょう。
今の日本は「新規性」や「技術革新」で評価される事の方が多いのですが、効率主義に思えたアメリカで時間をかけコミュニケーションを取り、「幸せ・美味しさ・持続可能性」で食ビジネスを評価しているのです。
その地域で採れた食材を選び、香り、色艶のある鮮度の良い食材を使って、家族で食事をしたり、慣れ親しんだシェフが作ってくれた料理を、親しい人達と共にいただく時間はゆったりと流れます。
決して、コンビニなど効率的な食事が悪いとは言っている訳では無いです!
アメリカでは「幸せ・美味しさ・持続可能性」を重視し、選択する人の割合が増えているのです。近い将来、日本もこうなるだろうと予感させる考え方が浸透しています。
スーパーのプライスカードは、地域の食材を使っていること(100マイル=160km以内)、有機食材であることの、どちらか一方でも満たしている事が食材選択の基準になっていて、持続可能性について多くの人が普通に取り組んでいました。
日本でも美味しいと評判のコーヒーチェーン「ブルーボトルコーヒー」では、オーダーすると名前を聞かれ、忙しい時間の中でもお客さんとのコミュニケーションを楽しんでいる姿に触れました。
サンフランシスコのファーマーズマーケットはとても人気と聞き、行列が無さそうな時間に訪問してきました。10種類以上ある「りんご」を選べない私に、丁寧に品種を教えてくれました。スーパーでも試食している姿をよく見かけ、私が子供の頃に八百屋さんで見た風景が復活しているのです。
行列ができるパン屋さんでは、この店で一番人気のパンについて解説してくれた優しい店員さんや、私がカメラで真剣にパンを撮影していると、毎日ここで買っているんだよ、日本から来たのかい?と笑顔で返してくれたスーツ姿の紳士に出会いました。
食べることは、生きるために必要な栄養素を得るだけではありません。食材のルーツを確認し、誰と、どこで、何を食べるかを真剣に考えて実行するだけでも、その1日の幸せ感が全然違ってきます。そして、1日の積み重ねが1ヶ月、1年、10年になるので、その人の健康や、満足度も違ってくるのは当然です。
食卓を豊かに、そして平等で、平和で、持続可能な未来への取り組みは日々の営みや、街で暮らす人、一人一人の心がけで作られるもの。「幸せ・美味しさ・持続可能性」を日本でも、皆さまと一緒に考えていけたら、とても嬉しいです。
シェパニースの料理はfacebookでご紹介していますのでご覧ください。
https://www.facebook.com/ffcnippon/