『銀座レカン』元料理長 高良康之シェフが独立して、『ラ・フィナージュ』を10月8日に開店しました。フランス料理業界の常識では、オープンして3ヶ月はスタッフの教育が行き届かないことがあり、本来の実力を見ることが難しいので、開業後しばらく経ってから伺うようにしていますが、11月に高良シェフにお会いしたとき「まだ、オープンが知られていないから、年内が空いているよ。早く食べに来て!」とお誘い頂き、イルミネーション華やぐ銀座へ行ってきました。今日は人気シェフによる王道、銀座フレンチのレポートです。
ところが…前菜がフグ刺し?!素材だけを聞くと、日本料理の旬食材ですが、厚切りのフグ刺しは独特の食感、さらにロックフォールチーズがまぶしてあり、香りと旨味が噛むほどに融合。隣にはブイヨンで軽く味付けしたライスコロッケが添えられていました。フグ刺しはチーズの塩味が強いので、コロッケは控えめな味に仕上げ、お皿の上のトータル塩味が計算されています。マッキー先輩は「こんな色気を感じさせるフグは、食べたことがない。」と感想を書かれておりましたが、この一品を食べることができたことに、最高に幸せな12月だと思えてしまう一皿でした。
フグは免許を持っていないと飲食店で使えないというルールがあったそうですが、現在は免許がなくても購入ができます。高良シェフは築地でフグ刺しを購入し、コリアンダーなどでマリネして数日置き、ロックフォールチーズとエシャロット、ヴィネガーのドレッシングで和えています。
クセの強いロックフォールは苦手な人も多いと思いますが、フグ刺しと見事に調和し、違和感が全くありません。それは、チーズの量、フグを切る厚さを考えているからです。さらに、香りと塩味はワインが飲みたくなるフランス料理そのもので、ペアリングで選んでいただいたメルロー白ワインが素晴らしく、華やかな香りのコラボレーションを楽しむことができました。
高良シェフ曰く、ワインが飲みたくなる料理こそ、真のフランス料理。この日は、トラフグの前菜から、フォアグラ、アワビ、アンコウ、エゾジカ、チーズまで、それぞれのお料理に合わせたワインを飲みたいと思う豪華なフランス料理のフルコースでした。
ちなみにお店は、銀座駅から徒歩2分、ビルの2階です。グレーを基調としたシックなインテリアで、右手前に4名の個室、正面にカウンター6席、左奥がテーブル席6席です。席間の仕切りはありませんが、ゆったりとした作りで、お客さま入店時に目線を合わせることないように設計されています。業界紙やファッション誌に何度も登場している人気シェフですから、高良ファンはとても多く、予約はカウンター席から埋まっていくそうです。今回はもちろんカウンター席に座らせて頂きましたが、落ち着きと広さのある席で、美しいお皿と高良シェフに解説を聞くことができました。
厨房はマルゼンさんの設計です。フランスレンジ、ガスコンロ、スチコン、焼き物機(サラマンダーの代わり)で調理されています。また、サラマンダーより、上火の焼き物機の方が瞬間で火が着き、高さと時間で火加減がコントロールしやすいということもよくご存知でした。開業予定の方がいらっしゃいましたら、細かいところまで参考になる厨房です。ぜひカウンター席で、高良ワールドを体験してくださいね。気さくで兄貴肌なので、どんどん質問しても答えてくださいます。
レストラン ラフィナージュ
住所:東京都中央区銀座5-9-16 GINZA A5 2階
電話:03-6274-6541
営業時間:12時~14時、18時~20時(ともにL.O.)
定休日:月曜、第三火曜日
コース:昼7,000円 夜18,000円
Facebookに料理とワイン、店内の写真をアップしましたので、ご覧ください。