最近、美味しいパン屋さんが増えましたよね。みなさんはどちらのパン屋さんがお好きですか?私は「新麦コレクション」と仕事でご縁があり、今日は代表のウルトラキッチン株式会社の杉窪章匡さんや、NPO法人新麦コレクションの事務局 池田浩明さんの活動をご紹介したいと思います。
人気のパン屋さんを次々とオープンしている杉窪さんは、テレビでも話題になっているので、ご存知の方は多いと思います。代々木公園と日本橋高島屋S.C.の食のセレクトショップ「365日」は長蛇の列ですし、名古屋「テーラ・テール」、福岡「ブルージャム」、神奈川・向ヶ丘遊園「セテュヌ ボンニデー」、学芸大学「サンチノ」もプロデュースされています。2015年より、小麦生産者とパン職人、消費者それぞれが自然な食についての理解が深まる活動を目指し「新麦コレクション」を設立。私のクライアントが「新麦コレクション」に参加したことからご縁ができて、事務局の池田さんにはいつも大変お世話になっています。
杉窪さんは昨年まで北海道の小麦を使ってパンを作っていたのですが、2年ほど小麦の生育に不向きな気象状況で北海道産小麦は大変な不作でした。そんな状況にも関わらず、国産小麦は爆発的な人気になり、こだわっていた北海道産小麦だけではなく、新麦コレクションの活動を通じて知り合った埼玉県産小麦ハナマンテンなども使って、パンを作り始めたそうです。先週、5/10に杉窪さんプロデュースの「Green Thumb」が渋谷のセルリアン近くにオープン。「育てる、愛でる」をコンセプトに、都市型ベーカリー、農園、ギャラリーのお店です。入口に畳一畳分の小麦畑があり、こちらに植わっているのが埼玉県で育てたハナマンテンだそうです。
Green Thumb 渋谷区桜丘町28-9(渋谷駅 JR南改札より徒歩5分)
実は日本の小麦自給率は10~15%程度。食べられているほとんどが外国産のため、小麦粉に味の差は無いと思っている方が多かもしれません。通常、小麦粉といえば、グルテンの比率だけで評価されていましたが、新麦コレクションの活動などにより、品種や育てられている土地、生産者によってもずいぶん味が変わることが認知され、蕎麦のように、小麦粉の産地を明記してパンを売るお店も増えてきました。そんな小麦生産地の一つ埼玉県は、都内から1時間というアクセスの良さから顔の見える小麦産地として注目されています。また、埼玉県の粉食文化を守りたいと、製粉会社の前田食品さん(幸手市)が埼玉産ハナマンテン小麦の生産に取り組まれたのは13年くらい前から。ハナマンテンは元々長野で開発された品種だったそうですが、埼玉県でも育てやすいのと、この品種を選んだそうで、現在、入間野農協(坂戸、川越、坂戸、狭山、越生など)では約20件の農家がハナマンテン小麦を生産しています。
先日、坂戸市で埼玉産ハナマンテン全体の約6割(約200トン)を生産している、小麦農家、原さんを訪ねて直接お話を聞くことができました。見学させていただいた日は最高の五月晴れ。地平線まで続く麦畑がありました。平らな地形に穏やかな気候、さらに関東ローム層の火山灰(富士山)が堆積した水はけの良い土壌なので、小麦の生育には向いている土地です。ハナマンテンはパン用小麦として作られていたので、グルテンがとても高い品種です。もっちりしていて、甘みがあるのが特徴です。どんな料理に合うのか池田さんにお聞きして意外だったのは「担々麺」。辛味のあるスープに合うように、一般的に甘みのある餅粉を混ぜて麺を作るそうですが、ハナマンテン は元々モチっとした食感が出せるので、それだけでも美味しいのだとか。そして、香川県に次いで、うどん生産量第2位の埼玉県。そして、埼玉県の小麦の生産量は全国6位(平成30年度)で、埼玉県の郷土料理には25種類も「うどん料理」があるそうです。小麦農家、原さんの畑の近くにある川島町の本手打うどん「庄子」は、地域で1番の人気店と伺い、ランチはそこでいただきました。冷たいうどんを熱々の肉汁に付けて頂くスタイルで、麺はツルッとコシがあり、とっても美味しかったです。真っ白な麺ではなく、全粒粉を混ぜていると思われる灰色の手打ち太麺。「すったて」というネギやミョウガのタワーが圧巻の夏限定のつけ麺も美味しそうでした!ランチ営業のみですが、川越方面に車でお越しの際は、少し足を伸ばして川島町へ行く価値はありますよ。
本手打うどん「庄子」
埼玉県比企郡川島町上伊草743-9
TEL 049-297-7703
営業時間 10:30-15:00