10/27(日)~10/29(火)に行われ、ほぼ全てのプログラムに参加しました。今年10年目、第8回ですが私は初参加。学会発表は34名の料理人で、2日間各30分のプレゼンがありました。函館に世界各地から集まり、地域の食材についてアカデミックに語り、若い人たちに技術と考え方を継承していくイベントでした。
写真提供:世界料理学会 in HAKODATE実行委員会
美食の街、スペインのサンセバスチャンは30万人という少ない人口にもかかわらず、美食の街として世界中から観光客が集まります。彼らに学んだ発起人、深谷シェフは、料理人は料理を創造するということだけではなく、街の発展に貢献し、後進の育成、コミュニティの醸成を担うことができると伝え、その情熱は、多くの料理人の哲学に響き、共鳴。学会プレゼン内容は個性豊かで飽きさせない内容ばかりでした。世代を超えた課題や、これから向かっていく方向性、そして具体的なアプローチの方法まで、実際にもがき苦しみながら得たことを惜しげも無く披露してくださる料理人の皆様に感謝です。参加者同士のコミュニケーションも濃密で、良い出会いもたくさんありました。
更に詳しく世界料理学会の開催経緯について知りたい方は、函館のスペイン料理店「レストランバスク」のオーナー深谷 宏治シェフの著書「料理人にできること」美食の聖地サンセバスチャンからの伝言(柴田書店 2019年8月31日発行)に詳しく書かれています。
<コラボディナー>
前夜祭として、参加シェフによる特別ディナーが行われました。
トップシェフのシグネチャープレートや北海道食材を使ったお料理の数々に、北海道の貴重なワインはソムリエ和田さんがセレクトしてくださいました。詳しくは私のfacebookページに全てのお料理とワイン、料理人さんの情報をまとめましたので、ご覧ください。
<学会プレゼン>
脳みそがチクチクするほどの刺激的なお話がありました。
◆谷昇シェフ(ル・マンジュ トゥー)と道野正シェフ(ミチノ・ル・トゥールビヨン)の対談テーマ:料理人という生き方
道野シェフ:今日会場に居る旭川のK君が入店した時「俺は大学出だぞ(同志社神学部)」というと、「学歴は関係あるんですか?」と聞き返してきた。そこで「ひとつ身につけたら一つお客様を喜ばす事ができる」と言ったら、顔が優しくなった。この子は見込みあるなと。それから25年です。
谷シェフ:様々な分野の本を読むことが大切。食以外のあらゆるジャンルを読む。料理写真を見るとどうしても頭に残って真似したくなる。文字で読む方がいい。イマジネーションが働く。
◆佐藤伸一シェフ(2つ星のpassage53を閉店し、来年パリ3つ星レストラン開業を目指して準備中)
個人のオリジナリティが重視されている。流れに乗ることが評価されにくい。付け足す料理ではなく、今はシンプルの精度を高めるような料理をつくたいと思っている。帰国したときは、日本の寿司、天ぷらの専門職から学んでいる。
◆Federico Pacha フェデリコ・パチョシェフ(ルイス・イリサール料理学校) 通訳:大山由美氏
サンセバスチャンのルイス・イリサールさんの弟子で、バスク料理と世界の料理の基礎を教え、伝統を重んじることの大切さを伝えている。5つの味(甘、酸、塩、苦、うまみ)の他に六番目があると思っています。それは誠実さです。
◆本道佳子さん(ビーガンメニューの推奨をしている国境なき料理団料理人)
「ミートフリーマンデー」は食のバリアを超えて、皆が同じ食卓を囲むことができるキーワード。ベジタリアンチャンスジャパンを2020年東京で開催予定。2019年は日本人がイタリアの世界大会に2名参加して、1、2位を独占したので、ぜひチャレンジして欲しい。
◆南雲主于三(The Bar codename MAXOLOGY tokyo オーナー)
Mixology とは?
Mix 混じる+Ology (突き詰める)
古いものをアップデートし、新しく創造すること。カクテルの進化は様々な歴史を経て、現代はストーリー、コンセプト、文化に重きがある。インスピレーションの源泉は、素材、コンセプトストーリー、文化、成分、色彩、デザイン、写真ビジュアル、料理・デザート。
◆今回のテーマ:天然のキノコ
今まで植物の仲間だと思っていたキノコの認識を根本から改めさせられた興味深いプレゼンが多数ありました。地域に行かなければ食べられない旨味の宝庫で、味の種類5種を混ぜることで、バランスよく旨味成分もたっぷりな料理ができます。覚えきれない品種の多さで、肉の代替?いやそれ以上のポテンシャルを発揮できる料理方法の紹介が多数発表ありました。一番美味しそうだったのは、「摘草料理かたつむり」清水さんのお店のキノコ寿司です!