日曜日のTBSドラマ「グランメゾン東京」をご覧になりました?
普段ドラマは見ない私ですが、監修されている東京の3つ星レストラン「カンテサンス」岸田シェフの料理に見入ってしまい、SNSで業界友達と盛り上がっています。
例えば、前菜「茄子と白レバーのプレッセ」は実際にカンテサンス で提供されている料理の材料違い。 ドラマでは「手間とアイデアで食材費は抑えられる!」と銀行へ説明したので、フォアグラが岩手県産ホロホロ鳥白レバーです。
もちろん、カンテサンスのスペシャリテとして通年提供される「山羊乳のババロア」(写真)もメニューに。ドラマ中のコンクール作品のジビエ料理「本州鹿ロースト血液を使ったコンソメ」は農水省のPRだったのかもしれません。ホテル衛生管理研究会としては、食中毒リスクの高い鹿肉の火入れはもう少しとお願いしたいところですが、長時間の低温調理で色鮮やか、ジューシーに仕上がっていてお見事でした。11/1からジビエフェアが開催されています。国産ジビエを食べてみたい方は農水省のWEBサイトをチェックして飲食店へぜひ。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/gibier/
11/3(日)放送第3話は、銀行融資のめどが立ち、お店作りがスタート。厨房図面は第2話の最後にチラッと登場したので詳しく見てみると、2階キッチンのあるフロアは席数32。厨房は各メーカーの協賛機器でショールームの様です。フジマックさんの最新機器バリオクッキングセンターとスチームコンベクション、サラマンダー、フレンチトップ、自家製パンを焼けるドウコンディショナー、コンベクションオーブン、ミートスライサー、ミキサー、TAIJIヒートランプやスーパーエレクターシェルフなどがありました。
ドラマ撮影としてはオープンキッチンの方が良いと思いますが、開放的なオープンキッチンは2つ星までのスタイルです。実際、東京の3つ星フレンチ「カンテサンス」「ロブション」「ロオジエ」はいずれもクローズドキッチンで、レストランで食事中はシェフが調理している様子を見ることはできません。以前、3つ星「ロオジエ」厨房を見学させて頂いた時は、まずは厨房スタッフの多さにびっくりで、席数46に対して、スタッフ36名もいました。「美しい料理は美しい厨房から生まれる」というポリシーを具現化し、細部にまでこだわり抜いて設計です。設置されている厨房機器は、それまで見たこと無いようなクオリティの高さでステンレスは板厚があり歪みがありません。もちろんリニューアルとはいえ、中古の厨房機器すらありません。いつ誰に見られても美しさを保てるよう、使い勝手と美しさを兼ね備えたオートクチュールの厨房で、ピカピカ輝いて見えました。
フレンチレストランを設計する場合、組み合わせによって、日本の厨房機器は奥行きや高さが揃っていないことが多いのですが、3つ星を狙うなら、調理機器や什器は床にコンクリートベースで固定させ、床とのつなぎ目部分は清掃性の高いR加工が当たり前。さらに、ステンレス製の作業台(天板)は継ぎ目のない大きな1枚ものを使用し、ステンレス製の什器は現場で溶接加工するなど、厨房内のすき間を徹底的に排除します。もちろん、棚のビス留めは、露出のない加工で汚れが溜まらない構造です。
引き出し型のコールドテーブルなど、丸洗い洗浄ができるような冷蔵庫を使い、衛生管理を徹底していますし、すき間もありません。徹底的に汚れの入り込む隙間や凸凹を無くすことで、効率よく清掃を徹底することができる。それが3つ星の厨房と教えて頂きました。
グランメゾン東京では料理製作・所作指導で服部幸應先生が加わっています。様々な食の業界団体に参加されているので、細かいところのバランス感覚に優れたところは立教卒の先輩らしさを感じます。第2話の国産野菜、第3話のジビエを使ったメニュー開発シーンは農水省への配慮、第3話は厨房を作っているシーンでレンジフードにグリスフィルターを取り付けていたので、日本厨房工業会への配慮かもしれませんね。
先日、函館で開催された世界料理学会でお会いした「Passage 53」佐藤シェフは、2019年1月に2つ星だったパリの店を閉店し、3つ星を目指してパリで物件を探しているそうです。2つ星と3つ星はレストランの格が違うので、本当に大変だと思います。でも日本人シェフが、パリでフレンチレストランの3つ星が実現できたらミラクル!まさに今ドラマ「グランメゾン東京」の上を行っているパリの3つ星レストランを準備中なんて、事実がドラマを超えていて楽しみです。
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