料理人は美味しい料理を作るだけ、というのは一昔前のお話
サンセバスチャンや函館の成功事例をはじめ、世界各地で料理人が地域の活性化にプロデューサーとして貢献しています。
簡単に説明すると
1.地産食材で持続可能な方法で料理を作るレストラン仲間を増やし
2.学会や交流会でお店同士が情報交換することで、レストランの質を上げ
3.料理人自らPRも行い、SNS、雑誌、テレビで紹介する
4.レストランランキングの上位になるお店を地域に増やして、注目を集め
5.美食を求めて観光客がやってきて街が豊かになる
先日、函館で行われた世界料理学会ではサンセバスチャンの料理学校で教えながら、レストランのシェフもしているフェデリコ・パチャさんのお話や、深谷シェフと実行委員会の皆様が行なっている函館街づくりイベントの一端を見ることができました。
料理学会は発表者が各地域で活躍しているプロデューサーが多く、山形からは世界的にも有名なアルケッチャーノの奥田政行シェフ、宇都宮は父と二人の息子さん3人がシェフとして活動されている音羽シェフ家族が登壇し、地元の街を活性化するために歩んできた活動の講演をされました。もちろん、彼らだけではありません。日本各地で頑張っている料理人さんがそれぞれの活動を発表されていて、日本各地で地域イベントの成功事例や、インバウンドが激増したなど、興味深い話を聞くことができました。
その土地でしか味わえない美味しいもの食べに行く旅は本当にワクワク♪でも人を惹きつけるレベルは一流品、つまりオリジナルのホンモノだけなのです。奥田政行シェフが、学会を通じて気づいた事をシェアしてくださったので紹介します。
「オリジナルな料理が作れるようになるには、下記の3本柱で自分を成長させ、それぞれのオタク度をシェアしていく。
・食材の味を知る能力
・食材を料理にする能力
・自分だけの哲学を創る
そうすると、JRさんが観光列車を走らせ、海外から星付きシェフが視察に来て、それが雑誌、新聞に掲載されてPRになります!」
とまぁ、そう簡単に誰でもできることではありませんが、
一部参考にさせて頂くのでしたら、情熱を持って動いているシェフに共通しているのは、学会を通じて、お互いのレベルを上げ、それを地元で持ち帰って実践するということ。
そう。これからの時代はシェアリングエコノミー、つまり「共有」の時代ですから、うまく行った事を秘密として占有してしまうのでは無く、情報も共有して価値観を分かち合い、社会に貢献していこうという姿勢が、またレストランへ人を集めるコツなのです。
奥田シェフは、地域の農畜産物を育てている生産者さんの人手が足りなければ、お店のスタッフと一緒に収穫を手伝うそうで、そうするとタダで食材が手に入ると笑ってお話をされていましたが、だから生産者の苦労や食材の良さを理解でき、地元でしか味わえない美味しい料理が提供できるのです。そして、その話は共感を持って口コミで広がっていきます。
また、どうやってそんな料理人の人材育成をするのかというと、お弟子さんは飼い犬と同じように接するのだそうです。パワハラと躾の違いはこれで簡単に分かります。若い人が辞めたいと逃げ出しても、どこまで行っても追いかけて連れ戻します。愛犬がいなくなったら、血眼で探す飼い主と同じです。見つけたら連れ戻し、先輩たちにはこの子は反省しているからと、笑って許してもらえる環境を整える。本当に頭が下がりますが、ここまでしてもらったら逃げ出した若い料理人さんの心が前を向きますね。
新聞などの報道で見聞きしているレベルでは、地域経済は非常に厳しいというデータが出ているのにも関わらず、どの地方へ行っても人は温かくて笑顔が優しいのです。一方、都会は経済的には豊かですが、忙しすぎて、自分を守るのに精一杯。
お金があっても、幸せじゃない。
人がたくさんいても、幸せにはなれない。
働き方改革とか、人口減少問題、色々言われていますが
自分の住む地域で心繋がっている人と、自分の動ける範囲の助け合う気持ちを持てる暮らしは居心地がいいなぁと。優しくて温かい街を作るコツを見せて頂くことができました。
世界料理学会 in HAKODATE実行委員会提供写真と合わせてfacebookページに掲載しています。https://www.facebook.com/ffcnippon/