「6次産業化」事業がスタートして約10年。農業、水産業の第1次産業生産者が、加工賃や流通マージンなどの第二次、第三次産業の事業者が得ていた付加価値を生産者自身が得ることで成功した事業者が増えていますが、大量調理は家庭料理とは全く異なるので、素人的にスタートしてしまい地域食材でレトルトパックを作ってみたものの全然美味しくできなかった失敗話の噂もたくさん流れているそうです。
今回訪問した奄美大島大和村は、そんな噂を聞いて心配になり、指導して頂ける方がいないでしょうか?と勝さん経由でご相談をお受けしました。年末の忙しい合間を調整していただき、レトルトパック調理の指導実績のある大西さんを連れて奄美大島を訪問することができましたのでご報告です。
共同の調理場には業務用冷蔵庫、コンロ、小型高温高圧調理器、真空包装機など、素晴らしい厨房機器を揃えた加工場がありました。設備は充実しています。しかし、日本全国でも、レトルトパックの調理を指導できる人は少ないので、新品同様の使われていない厨房機器が現場で増えているのかもしれません。
慣れてしまえば調理機器を使って調理するのはアルバイトさんでも簡単ですが、最初の指導が肝心です。いいタイミングでお声がけいただき、奄美大島特有の「シロうるめ」「やぎ」を使った郷土料理の試作を支援させていただきました。
さて、現地について驚いたのは、食材の量、調味料の配合を計らずに、自分達の感覚で加えていたこと。味にムラができてしまうのは当然ですし、最適な調味液の量が分かりません。そこで、まずは前回作ったレトルトパックをみんなで試食して、理想の味や色を確認。計量をしっかり行って、記録を取りながら試作をすることを指導し、調味液は食材の15%が良さそうということを確認してから試作をスタートしました。
また、「F値」を「4」にするためには小型高温高圧調理器を何度、何分にすればいい?真空パックに食材を入れる時の温度や分量のコツ、真空包装機の中で爆発させないための工夫など、今回は初心者が失敗しやすい点を実際に作りたい食材で、大西先生が丁寧に指導してくださいました。
慣れてしまえば、設定1のボタンを押すだけで簡単調理できてしまう作業です。だから最初が肝心。どうしてこの作業をしているのかを全員に理解していただき、未然に事故を防ぐ正しい方法のレクチャーを受ける事で、もっと作ってみようと思う意欲が湧いたと喜んで頂けました。
それにしても、奄美大島は美しすぎる景色でした。
今回訪問した大和村には、幸運を呼ぶ「アオウミガメ」が漁港で泳いでいて、餌をあげると手からパクリと食べてくれました。ここは水族館ではなく、普通の漁港ですよー(笑)
集落の方々との楽しいおしゃべり、そして美しいサンゴ礁の海に沈む夕日が見送ってくれました。またぜひ奄美大島へ行きたいです!
美しい奄美大島の景色、ホテルの食事など料理の解説はfacebookに掲載しました。