メディア、物販、スキルシェア、コンテンツ配信など、様々なカテゴリーに広がる個人経済圏プラットフォームを使ったことはありますか?
テレビや雑誌に取り上げられてもあまり売れないこの頃、気が付けば飲食業界のマーケティングや、プロモーションの常識を大きく変化させているようです。
新しい飲食店が開業する時、成功するかどうかを見極めるポイントは開業前からのInstagramのフォロワー数をチェックし、クラウドファンディングで盛り上がっているかどうかをネット検索しています。
数年前と違って、Facebookページを作る程度の簡易なスキルで、店舗情報を告知するECサイトを構築できるようになり、クラウドファンディングで銀行から借りるのではなくファンから資金調達して、飲食業を起業する人が増えました。だから、開業時にはファンがたくさんいて、初日から長蛇の列ができ、その様子を見た方が口コミ、SNSで拡散してくれるので、無名の個人でもフードビジネスの見込みが立ちやすく、安定して収益を得る事ができています。
事業のコンセプトを伝え、共感を得たるための個人経済圏プラットフォームは様々あります。
- メディア → YouTube、instagram、ブログ
- 物販→ポケットマルシェ、食べチョク、Base、STORES
- コンテンツ配信→ note
- スキルシェア→ココナラ
- クラウドファンディング→ CAMPFIRE、Makuake
上記のいずれかでも使った事がある方なら、その熱の強さを感じると思いますが、まだ使ったことのない方も多いと思いますので、私が体験したポケットマルシェの事例でご紹介しましょう。
私はポケットマルシェに出品している農家を支援しています。コロナで売れ残っていた食品が5月から9月まで、ポケットマルシェでたくさん売りました。農家さんの元には、毎日のようにメッセージが届き、最近は商品を取り扱いたいと、大手業者から直接電話も掛かってくると笑って話してくれました。
「食料品」を扱う個人経済圏のファンコミュニケーションは、リアルより熱狂的になりやすいのかもしれません。
食べ物を通じた信頼関係は、愛着度が高く、生産者さんのコミュニティには「ごちそうさま投稿」と呼ばれるメッセージと写真が毎日のようにアップされます。それを見て、また購入する人が増えていきます。
今まで直接会って、購入してくれていた人は、毎日会うような人ばかりなので、いまさら「美味しい」「買いたい」なんて、言わずに買っていきますが、遠くに住んでいて会えないと、人は熱狂的になるようで、購入希望の方、購入してくださった方から「○○さんの■は美味しかった、ありがとう!」「○○さん以外からは買いたくない」など、嬉しいメッセージが届きます。
つまり、農家のお母さんがお小遣い稼ぎに「道の駅」へ出品していた野菜を、ポケマルのプラットフォームを利用して、毎日の農作業の大変さや安心安全のこだわりを説明しながら販売したら、美味しいと評判になってファンが付いた。と理解していただくのがわかりやすいかもしれません。
投稿をしてくださった相手に合わせて、フレンドリーでタイムリーな返事を返すなど、コミュニケーションには少しコツもあり細かな指導をしていますが、5ヶ月で350人以上のファンを獲得できました。目標は500人で、ファンが毎月1000円の商品を購入したら、約50万円の売上、そこから手数料が15〜20%差し引かれても、約40万円が手元に残ります。JAさんや、今までのお取引先とのつながりを大事にしつつ、コロナの様な緊急事態への対応として、ポケットマルシェを使えば、家族が慎ましく暮らす事ができる収益の柱を一つ構築できたのです。
個人経済圏の本質は、得意な領域で価値を提供し、共感してくれるファンと関係を築いていく新しい生き方です。誤解の無いように申し上げておくと、マスの大手食品事業者と対峙するのではありません。ビジネスを大規模へ拡大したいという要望は生産者側には無く、自分が作る安心安全の農作物を、美味しいと喜んで食べてくれる人に販売ができ、日々暮らす事ができるくらいの生産量を維持できて、ワークライフバランスを保てる程度が理想だと考えています。
新型コロナウィルスはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の存在を大きくし、エンドtoエンドのユーザーの繋がりを強くしてきましたが、GAFAにとどまらず、個人をつなげる新たなプラットフォームが次々と登場し、ファンを形成し、ピンポイントな領域で稼ぐ事ができるようになりました。この個人的な経済圏は同じようなグループが複数形成される事で、重なり合い、拡大しています。
デジタルテクノロジーのユーザビリティ向上により、誰でも簡単に使う事が可能になり、コロナ以降は爆発的に増加しています。
マス媒体に向けたプロモーションをしても、なぜかお客様が増えないと思っている方は、一度試されると良いと思います。個人商圏でファンが付かない「ビジネスモデル」は再考が必要だとすぐに分かるからです。大企業もその事に気づき始めています。
*写真は日比谷松本楼の料理長が、オムライスの作り方を教えてくださるYouTube動画を撮影した時の様子です。文章とは関係がありません。