コロナで8ヶ月間も厨房機器の展示会が開催されませんでしたが、10月7〜9日、フードシステムソリューション(F-SYS)展が行われました。
厨房機器メーカーの最新機器をご紹介します。
入口では体温チェック、アルコール消毒、事前登録制でQRコードをかざして入場しました。ここまで全て非接触です。会場内は、名刺交換をせずに、来場者のパスに書かれているQRコードを読み込んで確認をしていました。
フクシマガリレイブース
HACCPマスター 温度計測、作業負荷軽減のためのDX、一歩前進
HACCPに基づいた管理の6月義務化に伴い、食材の温度管理記録を自動化させるシステムの開発が進んでいます。現在、調理スタッフが毎日、数回、冷蔵庫の温度を点検したり、食材仕入れ時の検収温度、調理中の温度を測定し、異常がないか確認し、履歴を保管しています。しかし、実際は面倒なので、確認をせずにまとめて「異常なし」と記入していることも多く、本当に異常がないかどうかをチェックするには、自動的に計測した方が信頼性が高いのです。
フクシマガリレイブースには、HACCPマスターのクラウド化のデモ機がありましたので、実演を見せていただきました。温度計とはBluetoothで連携。また、入力結果はタブレットで表示され、パソコンでも同じ画面を見ることができます。そして、検収時、調理中の温度記録、作業者の健康チェック、体温測定も連携ができます。某ホテルさんからは、人事部、調理部、購買部でHACCPマスターのデータを閲覧し、従業員の労働管理などを行いたいとご要望がありました。今回クラウド化により、作業時間が短縮できると期待のコメントをいただいております。
キュアリング庫 野菜の糖度をアップさせる保管庫
野菜は旬の時期に大量に収穫した後、販売時期をずらすために冷蔵庫で保管することがあります。玉ねぎやジャガイモがハウスの中でゴロゴロ転がっている風景をよく見てきましたが、最近はキュアリング庫で温湿度をコントロールすると、糖度が上がることが分かってきたので、野菜を高く売りたい生産者に喜ばれています。例えば、スーパーでよく見かける焼き芋販売。甘くて美味しいですよね。焼き芋に使用されている芋は、糖度の高いものが選ばれます。農家の秘密兵器装置、それが、このキュアリング庫です。また某有名な玉ねぎの産地では除湿で、玉ねぎの水分を減らし糖度を上げてるそうです。皆さんは○○産は美味しい!なんて思っているかもしれませんが、実は地域ブランドの美味しさを守っているのは、こんな保管庫かもしれません。
受取用コールドロッカー 飲食店閉店後でも商品の販売が可能に
コロナで飲食店のテイクアウトニーズが上がっています。フクシマガリレイでは受け取りまで商品を冷蔵庫保管し、受け渡すためには従業員の作業負担を解消するための冷蔵・冷凍・加温のできるロッカーが商品化されました。
大手寿司チェーン(大阪、池袋など)でスタートしたこのロッカー、テイクアウトで事前決済済みのお客様はQRコードをかざせば、自分の商品の扉が自動で開くので、簡単に商品を受け取れます。従業員との接触もありません。このロッカーは冷蔵だけではありません。加熱すればピザの受け取り、冷凍すればアイスクリームも保管できます。冷たい生ビールと温かいピザ、デザートにアイスクリームのピックアップをして、家に帰ればすぐに食べられるそうです。都心部ファミリーレストランチェーン店の新しい販売方法として注目を集めています。
マルゼンブース
ラムバサダー(オージーラム)のプロモーションでお世話になっているマルゼンの皆さん。今回のデモンストレーションでも、様々な厨房機器の使い方を分かりやすく紹介しています。トップ写真はマルゼン管理栄養士チームの皆さんです。
今回の新製品はこちら、「自動手指洗浄消毒器」です。
コロナウイルスの感染予防として、食品工場や飲食店では、蛇口に触らずに手を洗いたいというニーズが高まっています。そこで開発された、自動手指洗浄消毒器はスリムなシンクに洗剤とアルコールのタンクを壁に設置し、手をかざすだけで水や洗剤、アルコールを噴霧させることができます。電源が無い場所でも設置できるので、既存シンクとの交換で余計な電気工事費がかからないのも魅力的です。
コロナ対策に有効と言われている紫外線(UV)で消毒、殺菌する保管庫です。サイズに合わせて様々な商品があります。コロナだけではなく、様々なウイルスや食中毒菌の感染予防に、使われている商品です。
大豆ミート
いくつかメーカーがありますが、大手外食チェーンにも採用されている1社が出店していました。大豆はオランダ製、スパイスを混ぜて、鶏肉のような食感に加工し、冷凍で日本に輸入されてきています。食べ応えがあり、約2500円/kgとのこと。鶏肉よりは高いのですが、美容や健康にこだわるヴィーガンが増えている今、需要は高まっています。
イタリア製のスチコンで、ヨーロッパでは某大手スチコンメーカーの商品より、よく見かけます。理由を伺ったら、三つ星シェフが美味しく肉を焼くためにオーブンの前に立って、何度も肉を出し入れし、加熱状態をチェックしている作業を自動化できること。一度火加減をコントロールを覚え込ませれば、室温と芯温の温度上昇を見ながら、きめ細かい制御をして焼いてくれるそうです。一定温度ではなく、マインドマップに曲線を描くことができて、温度の上げ下げを自由にコントロールできます。
試食した時にたくさんの肉汁が出て驚きました。さらに、従来はホテルパンとの接触面が白く、あまり美味しそうに焼けなかったチキンが、両面こんがり焼くことができるようになったそうです。この秘密は、ホテルパンの網目の下に熱風を通す空洞があるから。焼き上がりもGOOD。もちろん手作りの良さである、味付け、温度コントロールはシェフのお好みにセッティングできます。目を離して、他の調理に専念ができるので、UNOXを使えば、1品メニューを増やせるかもしれません。スチコンの画面を見たら、同じ温度で調理できるメニューが表示されていました。これは、効率的に調理をするためのアシスト機能だそうで驚きました。フレンチ、イタリアンの皆さんは、現地でトップシェフが使っているスチコンなので、要チェックです。
Araou 自動監視付き手洗い器 モニターとカメラで手洗いを自動監視
大量調理マニュアルに書かれている手洗い手順、皆さん間違いなくできますか?衛生管理の基本なのですが、アルバイトまでいる従業員に徹底させるのは至難の技です。そこで、タニコーが開発したのは、手洗いの様子をモニター&カメラで確認し、正しく手洗い動作をしなければ、ブザーが鳴って、もう一度洗い直しをさせる機能が着いた手洗い器です。300万円というお値段にも驚きましたが、手洗いを監視する労力が削減できるなら、この手洗い器は安いかもしれません。
フジマックとホシザキは出展していませんでした。各社、コロナの感染リスクを考えて、難しい判断だったと思います。オンラインセミナーや個別相談会は各社ショールームなどで開催されていますので、気になる方は厨房機器メーカーのWEBサイトをご覧ください。