あけましておめでとうございます。
我が家のお節料理は畑で育てた野菜など、埼玉県産食材率が毎年少しずつ増えています。見た目には分かりませんが、その土地の食材で作ることで、地域の食文化を愛で、味わって、楽しむことができました。
祖母と母が、自宅で日本料理を教えていたので、小学生の頃から親子で作る御節料理は我が家の伝統行事でした。
昨年、母が3ヶ月も入院し、私が記録を残さないと伝統の味や、技が失われてしまうかもしれない危機感を感じるようになりました。まだまだ親子で一緒におせち料理を作りたいと思うのですが、残り時間が少ないことを感じています。
◆おせち料理の起源
紀元前2~3世紀、日本人が米を作り農業を始めた頃、当時の人々は四季折々に収穫される産物の喜びを、神に感謝することによって、単調になりがちな生活に節目をつけていました。
季節の「節」=御節の「節」
季節ごとに収穫物を神に供えることを「節供」といい、供えたものを料理して、豊作、大漁を願い、自然の恵みに感謝して食べる料理を「節供料理」と言いました。
その後、平安時代に邪気払いや不老長寿の祈願行事「節会」というかたちになりました。「節会」は、1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日の五節句あり、祝膳を神に供えました。
当時は宮中行事でしたが、時代とともに季節の催しとして庶民の暮らしでも、盛んに行われるようになり、特にお正月は、新しい年を迎える代表的な節なので「おせち料理」と呼び親しまれるようになりました。
新年、まずは屠蘇(とそ)を酌み交わして、雑煮を食べ、おせち料理を食べます。屠蘇は、邪気を払う薬酒で、屠蘇散という漢方の生薬をみりんや酒につけたものです。我が家は江戸時代、徳川家康が好んでいたと言われている「みりん派」。甘いので誰でも美味しくいただけます。みりんは伝統の方法で作られている九重味醂「九重桜」(愛知県碧南市)を使っています。
◆お雑煮
我が家は江戸時代から東京に住んでいるご先祖さまからの伝承で、関東風です。鶏ガラで出汁をとり、餅、鶏肉、小松菜、里芋、大根、京人参、そして三つ葉とゆずの皮を薄く切って香りを添えます。埼玉県といえば、小松菜と里芋の産地です。鶏肉は手に入りやすく、大根、人参もこの季節に収穫できる冬野菜。関東のお雑煮は武蔵野平野の土地に根ざした食材が使われていることを実感できます。
◆おせち料理
年神様へのお供えもの。日本には、「言霊(ことだま)信仰」があり、おせち料理は、「縁起のよい名前」の食べ物が詰められています。
三ツ肴「数の子、黒豆、田作り」はそれぞれ、子孫繁栄、まめに健康に動く、五穀豊穣の願いが込められていて、おせち料理に欠くことのできません。もし、忙しくておせち料理のすべては用意できなくても、この三ツ肴だけでも用意して、新年をお祝いしてくださいね。
12月になると、日持ちのする栗きんとんや、黒豆を作り始めます。12月30日は母と一緒に「伊達巻、錦玉子、松風鶏、ごぼう巻き、八つ頭の煮物、田作り、紅白なます」を作りました。
大晦日、紅白を見ながら「煮しめ」作り。畑で収穫した聖護院大根やクワイを入れてコトコト煮込みました。キンカンは甘く煮て、矢ハスは白くシャキッとした歯応えを残して3分。
そして、伝統的な御節は、お重の中にギュウギュウに詰めます。お重は富の象徴なので、スカスカではいけません。
◆鯛の塩焼
「めでたい!」と言えば、鯛ですよね。塩をして、エラはピンと張るように楊枝や大根の切れ端で整え、伸ばします。オーブンで200℃10分+180℃10分。焼き加減を見て、追加で数分焼きます。
写真は完成したおせち料理2021年元旦の様子です。
昨年12月、プロカメラマンのテラウチマサト 先生の写真教室で3年間のカリキュラムを無事終了しました。埼玉わっしょい大使など、写真投稿のお仕事をいただいたり、今年4月からは学校給食の業界紙でカメラマン&ライターとしてデビュー予定です。
毎年お節料理の撮影していますが、少しずつ腕が上がっているかしら(笑)
仕事では農家さんなど一次産業に携わっている方々はもちろん、食品加工や、流通、EC販売、料理人、観光ビジネスなど、上流から下流まで、様々な方と仕事をさせて頂きました。農作業の流れや、日本各地の風土的特徴、住んでいる人達の気質で、採れる作物や消費量が変わっていくこと。消費者の持つイメージや、うつろいやすい購買心理、自分たちの魅力に気づいていない生産者へのアドバイスなど、様々な課題の解決をお手伝いしてきました。
2021年、フリーランスの働き方が一般的になり、仕事の地理的・時間的な制約がますます無くなっていくでしょう。おかげで、前職を退職したときには思いもよらなかったレベルの仕事に巻き込まれておりまして、引き続き農業・飲食・学校給食・行政・宿泊・観光業界からの依頼でお仕事をさせていただく予定です。
メニュー開発や厨房機器の選定など、技術的な「食」だけでは無く、文化としての「食」の素晴らしさをお伝えできるよう、学びを深めています。
皆様、どうぞよろしくお願いします!