「漁師町」鞆の浦で育った先代が、戦後で物資も乏しい時代に、「人々の心を潤したい」との思いで、魚に「加工」という付加価値を付けて販売することから始まった「阿藻珍味」。立教大学インターン生、粟村さんのお父様が経営をしています。
創業から72年の現在、福山の地域密着でとても大きな食品企業なので、TVーCMや、広島を旅した方は尾道ラーメンのパッケージを見て、「あ、知ってる!」と思われることでしょう。
鯛ちくわ・ままかり味醂干しなどの練り物・珍味の販売のみならず、だしに小魚を使った「尾道ラーメン」の販売、瀬戸内の海の幸を使った料理を提供する飲食店「小魚阿も珍」、鯛ちくわの手握り体験などが行える「鯛匠の郷」など、様々な取り組みをしています。
今回は、コロナ時代の取り組みについて、株式会社阿藻珍味の課長 古海弘之様にインタビューさせていただきました。
阿藻珍味では、創業時からの海産物の加工・販売だけでなく、美しい景色が見える「鯛匠の郷」という施設を鞆の浦で30年ほど前から運営し、鯛ちくわの手握り体験、手焼きせんべい体験、ふりかけ作り体験などができます。
子どもから大人まで楽しめるこの体験施設がオープンしたのには、阿藻珍味や海産物をより近くに感じてもらいたいという想いがあったから。時代が変化するにつれて、「魚離れ」が問題視されるようになり、それは水産加工食品を扱う阿藻珍味にも影響を受けてしまう課題となっていました。そこで、このような体験施設を通して、自分の手で「つくる」ことで、魚、そして阿藻珍味の商品をより身近に感じてもらおうと設置したそうです。実際、この施設を家族で訪れるだけでなく、学校の社会見学で訪れたことのある方が、大人になって阿藻珍味をまた利用してくれているというお話も教えていただきました。
また、コロナ禍による影響についてもお聞きすると、飲食店、駅で販売しているお土産などのギフト商品は打撃を受けたそうですが、スーパーやオンラインショップでの販売は好調だったそうです。地域に根付いた経営を通して「阿藻珍味」というブランドを地元の方に認識してもらえていたこと、事業を多角化していたことで、コロナ禍でもリスクを分散することができたのではないかとおっしゃっていました。
時代のニーズに合わせた様々な事業に取り組んでいるのは、「阿藻珍味」というブランドを守っていくためだという言葉と、地道に地元に根付いていくという言葉が印象に残っています。長い間利用して下さっている地元の方の期待と、時代のニーズに合ったものをお届けしていくために、変化を続ける「阿藻珍味」。今後は、コロナ禍の中食需要に向けた事業や、体験施設「鯛匠の郷」での「漁師町のガス天づくり体験」も新たに始めるそうなので、ぜひ広島、鞆の浦に訪れた際にはチェックしてみてください!
株式会社 阿藻珍味
住所:広島県福山市鞆町後地1567-1
電話番号:084-982-3333
http://www.amochinmi.com/mysite1/index.html