友人の「フランス料理の食べ歩き」の投稿を、アート鑑賞のように眺めては、羨ましいなぁ、行きたいなぁと見ている私。フランス料理の古典を学び、その解釈の奥深さを知ってしまうと、技の伝承やデザインの美しさに、日々、大人の知的欲求が深まります。特に、人気店の前菜(オードブル)は食欲をそそる盛り付けで、定番のこれ!という安定感に惹き込まれたり、繊細な超絶技巧に驚いたり、有名店のオマージュを若い料理人さんが作られているのもなんだか嬉しくなります。
さて、今回のアスコット会は、前菜から最後のデザートまで、最高!こんな最上級な言葉を安易に使ってはいけないのは分かっていますが、石原雅弘総料理長の実力は本当にすごいです。
教科書に出てくる古典フランス料理のスタイルにも関わらず、食欲を刺激するモダンな華やかさと食べやすさのセンスに脱帽でした!
まずは古典通り、砕いた氷の上に器を乗せて、その器に盛って出されたキャビアが登場。サワークリームを添えることが多いのですが、今回のアレンジはカリフラワーのムースです。ロブションへ行くと、同じようにキャビアが出てきますが、アスコット会では、美しい器も見応えがあり、これはお見事。
黒い蓋には「THE TOKYO STATION HOTEL SINCE 1915」と書かれていて、ワイン色の小瓶です。開けると黒い宝石キャビアがぎっしり、クリームとの相性も抜群でした。
続いて、石川県産赤西貝を産地で身だけ取り出し急速冷凍、東京へ。石川県でしか食べられない美味しさを、東京のブランルージュで体験できました。さっと表面だけをソテーして、コニャックを振りかけて冷まし、青大根、グリーンライムで和えたビネグレットをかけてあるそうで、優しい柑橘の酸味とコリッとした食感が美味でした。
魚料理は高知県宿毛より羽太が届かず、三崎の金時鯛(きんときだい)でした。セロリ(ミツバのような新しい品種)、茎わさびの醤油漬け、生榎茸を刻んだものとゆずの香りを付けたドレッシングがさっぱりして美味しかったです。日本酒「江戸開城」とのマリアージュが抜群で、つい2杯も(笑)
そして、今回は1番気に入ったのが、ブルゴーニュ本家のシャラン鴨、フランスで一番高級な鴨で、フランス料理の王道です。しかし、この調理方法は日本らしいアレンジでした。
皮だけ網焼きにして、冷まし、一口サイズにした後、カタクリを入れて、治部煮のようにして、すき焼きの割りしたへ。フォアグラ、千住葱、春菊を入れた「すき焼き」のような鴨料理です。
高知の「香り米」を潰して、春菊の茎の部分を刻み、秋田のきりたんぽのように丸くして、一緒に添えられていて、これもまた美味しい。
フランス料理と日本料理が融合した逸品、何度でもいただきたいと思いました!
メインディッシュは、和牛フィレ肉のステーキ。北海道で育った黒毛和種の子牛を大切に約20ヶ月育てたそうで、脂の良さをそのままに深くまろやかな味、そして見事な火入れが感動でした。
Menu
キャビア・オシェトラとカリフラワーのムース
石川県産赤西貝のガーリックオイルソテ 潰し大根のコンディメント
三崎の金時鯛のポワレ
サラダセロリ 茎わさび 山えのき入りヴィネグレット
フランス・ピュルゴー家 シャラン鴨のグリエ
フォワグラ 千住葱 春菊とともに
とかちポロシリ和牛フィレ肉のステーキ トリュフソース
独活(うど)と里芋のソテ添え
あまおうのスペシャルデザート
珈琲と小菓子
Boissons
南フランス・白ワイン 「ガスコーニュ2020」
ドメーヌ・アラン・ブリュモン シリュス ガスコーニュブラン
グロ・マンサン50%、ソーヴィニヨン・ブラン50%
鈴木シェフソムリエがセレクトしたのは、キャビアに合わせるのは通常シャンパンですが、面白く無いのでと、グロ・マンサンの豊富なアロマのある、ソーヴィニヨン・ブランです。さわやかな酸味、 柑橘系白ワインで南フランスの軽やかな空気を感じました。
https://www.mikuniwine.co.jp/?pid=139614641
江戸開城 純米吟醸 原酒 山田錦
東京都港区芝4丁目 東京港(みなと)醸造
雑居ビルで作っている蔵元。かなりメディアに取り上げられていて有名です。流行りの日本酒ですが、決して強いタイプではなく、甘いタイプでも無い。今回は食中酒としてちょうど良いお酒でした。
お魚料理に合わせて、日本酒を冷やで頂きました。これは美味しい!
http://tokyoportbrewery.wkmty.com/shop_menu/junmaiginjo-genshu-edokaizyou/
イェランド&パップスシラーズ2018
南オーストラリア州シラーズを使ったワイン
牛肉料理に合う酸と果実味が素晴らしい赤ワインでした。やっぱりオーストラリアの赤ワインは太陽をいっぱい浴びている感じがいいですよね。