農林水産省 国産有機農産物等バリューチェーン構築推進事業(合同会社ノコノコ・空庭)主催で、司厨士協会京都本部の会員等、京都の有名ホテル料理人をお連れして「京都オーガニックファームツアー」を開催しました。
私もメンバーの一人としてバス車内でツアーガイドをさせていただきました。
オーガニック生産者の支援を約6年しておりますが、オーガニック食品との付き合いは約50年になります。私は実は2−7歳まで小児喘息でした。今でもアレルギー体質で、鼻炎やアトピーもあり、花粉や埃にも敏感です。
喘息を治すため、親が私に「良いものを食べれば健康になる」と言い、オーガニック野菜等を食べさせてくれていたおかげで、風邪すら引かない健康な身体になりました。結婚して自分で料理を作るようになり、妊娠、出産して改めて食べ物の大切さを実感。今でも自宅で食べる野菜は、畑で収穫してきたものか、オーガニック宅配の食品を食べています。
そんな経緯もあり、有機農業の事、生物の多様性を守る活動や健康への影響、有機生産者の事、有機加工食品の事など、お話をさせて頂きました。
フランス料理ではワインをはじめ、干しぶどうなどの乾物、乳製品などの輸入食材で当たり前に目にしているオーガニック食品ですが、日本の有機農業の状況、有機農家数、購入できる場所、購入方法などをご説明し、日本ではなぜ手に入りにくいのかを解説。
国内で先進的な活動をされている京都オーガニックアクションさんの取り組みをツアーで見学しながらご紹介しました。弾丸ツアーでしたが、学びが多くて、また是非伺いたい場所ばかりでした。
私も以前から活動を注目している京都オーガニックアクション369(ミロク)商店 鈴木健太郎さんのご案内で、ご紹介いただいたのは下記3件の生産者です。
ビオ・ラビッツ株式会社(京丹後市)
代表取締役 梅本修様
https://tentoumushi-batake.com/company/
16年前から有機農業で生産している梅本さん。京都でオーガニック生産者と言えば、真っ先にお名前の上がる方です。
有機農法で農産品を栽培する際の天敵が「虫」です。この時期、大根の葉に付く虫が多くて、毎日スタッフさんが手で虫を取ったり、高価な白マルチを敷き不織布のカバーをかけて防御。科学的な根拠に基づく対策をしながら、最後は人の手で害虫駆除をしていて、手間が掛かってます。
また、土づくりでは、由良川の倒木や枯れ枝落ち葉を野積みにして、時々掘り返して、じっくり発酵熟成させて堆肥作りをされていました。
園主 梅本さんは、元有名なカップ麺の企業に勤められていたそうです。ご自身の農地は山間部にあるため、他の方に貸しながら、現在の農地を借りて面積を拡大しているとのこと。行政主導で農地の所有と運営を分ける等、先進的な取り組みをした結果、若い新規就農の方が増え、もう土地が余っていないほど、たくさんの若者を受け入れています。有機農業を教え、有機農家を次々と輩出していく様は、なかなかできることではありません。
「てんとうむしばたけ」
取締役料理長 ビオ対馬様
https://tentoumushi-batake.com/
ビオラビッツが運営するレストラン「てんとうむしばたけ」では、カラフルな野菜を使ったメニューなど、日替わりビオランチセット(サラダ・スープ付)1,800円をいただきました。
オーガニックの意味は、人の身体に入って健康かどうかです。野菜作りからこだわっている「てんとうむしばたけ」の食べる人の幸せを考えたプレートランチで、明日への活力をいただきました!にんじんスープが濃厚でおいしかったです。
野村家 野村幸司様(京丹波町)
https://www.facebook.com/kouji.nomura.56
祖父から受け継いだ農業をはじめたばかり、20代の青年です。とてもしっかりとされていて、農業者が少なくなってきている京丹波町において、地元を活性化させようと頑張っている野村さん。
大きくて梨みたいに甘く、ジューシーなラディッシュ「京小毬」を産地化したいと奮闘しています。有機農家としての技術向上にも熱心です。今回参加してくれた同世代の料理人もいい刺激を受けたようで、援農へ行ってみたいと意欲的でした。
ラディッシュは市場出荷されますので、ぜひ選んで購入していただきたいですし、黒枝豆も味わい深く美味です。
オーガニックファーム「京のベジ」児島ひかる様(南丹市)
https://www.kyonovege.com/
多くの有機農家が実践しているBLOF理論(生態系調和型農業理論)で作物を栽培。肥料や堆肥の投入や、太陽熱処理マルチで雑草、害虫駆除をする方法など、栽培管理について丁寧に教えてくださいました。
BLOF理論(生態系調和型農業理論)
1.作物生理に基づいたアミノ酸の供給
2.土壌分析・施肥設計に基づいたミネラル肥料の供給
3.太陽熱養生処理を用いた土壌団粒形成、土壌病害菌抑制、水溶性炭水化物の供給
児嶋さんは、有機JAS認証の米と葉物野菜をハウス栽培しています。品種を多くするのではなく、通年で安定して出荷できる小松菜などと、米に絞って経営されているところがセンスが良いなと思いました。
ハウスのなかは小松菜などが順番に成長している様子がわかります。きれいな圃場ですが、入り口に近いところは虫に食われやすく、もし虫が広がった場合は、その虫を除去する手間をかけるよりすぐに潰して、新たに種まきをするそうです。葉物野菜は3週間程度で出荷ができるので、この方法が使われることが多いです。もったいないと思いますが、土に栄養として吸収され、循環してまた美味しい野菜になります。
近くの福祉事業所さんと連携して、農福連携事業を推進しています。低価格を実現し、社会貢献活動にもなるので、農水省も推進しています。ハウス内で障害を持つ方たちが、働きやすいように作業改善をされるなど、これからの農業経営者のお手本になる素晴らしセンスを持つ農業経営者でした。参加された料理人からも、もっと話が聞きたくなったとコメントをいただくなど、魅力的なツアーになりました。
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!