席に着くと渡される皮の分厚いメニュー表。開くと、こう書かれています。
「当店は、お任せのコース1つのみの形式を撮らせて頂いております。
この理由は、「素材への拘り」の為です。食材の食べ頃は決して長くはありません。
鮮度を優先する物であれ、熟成させて美味しくなる物であれ、
食材の状態がピークを迎えた時にお召し上がりいただく為には、素材の管理を徹底しなくてはなりません。(続く〜)」
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2006年5月、カンテサンスがオープンした時、このスタイルに皆が驚きましたが、食材へのこだわりが素晴らしく、お料理が美味しい人気店に。2008年のミシュラン東京が発刊した時から三ツ星のレストランです。東京フレンチ3つ星のロオジエ、ロブションは外国人シェフ。カンテサンスは日本人シェフで東京でミシュランが始まったときから3つ星を維持している唯一無二のお店です。
2011年4月、東日本大震災の後で運営会社から独立して岸田シェフがオーナーシェフになり、2022年11月、コロナを乗り越え、時代の変化を料理に取り入れながら、3つ星としての風格が出てきたように感じます。ただ美味しいだけではなく、これって何したの?と思わせる驚きがありました。
前職時代、2010年に取材でお話を伺いました。その頃は繊細で親しみやすさはなかったのですが、最近の岸田シェフは良い歳の取られ方をされていて、正統派フレンチシェフといった雰囲気に。笑顔で落ち着いた優しさを感じます。
今回も日本人シェフとして、フランス料理のトップを走り続けている岸田シェフの料理を頂ける幸せを、皆さまにシェアしたいと思います。2022.11.2カンテサンスディナーレポートです。
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私自身の勉強でもあり、岸田シェフの新しい美味しさへの探究、チャレンジも学ぶことができる貴重な食事会。今回も小林さんにお誘いいただきました。個室なので写真OK、メニュー表も最後にご用意いただきました。
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アーモンドパウダーのサブレ プルーンダント ハモンイベリコ
⇨最初に出てくる小さなアミューズ。シャンパンにピッタリ。間に挟んである発酵バターはオーム乳業(大分)です。国産バターはレベルが上がっています。口溶けが良くて、滑らかな舌触りでした。
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丹波栗 ほうれん草 グアンチャーレのスープ
⇨栗の渋皮が入っていて、色は茶色なのですが甘い丹波栗の焼き栗の香りとほうれん草で、旨味たっぷりのスープ。
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山羊のミルクのバヴァロワ
⇨岸田シェフのスペシャリテ。オリーブオイルはその季節に合わせて。冬の山羊ミルクは夏と少し味が変わります。
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白子 ピーカンナッツ
⇨真鱈の白子にクワイを素揚げにしたものを乗せ、熱々のピーカンナッツを最後に振りかけていただきました。
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モンサンミシェル産ムール貝 ヴォルオーヴァン
⇨フランス料理の定番ムール貝も岸田シェフの料理になると、キノコ5種類のソースが絶品で、シュー生地から財宝が溢れ出す宝石箱のようでした。
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ブーダンノワールのタルト 紅玉 梨
⇨フランス料理の定番、ブータンノワールは豚の血を使った料理です。一般には腸詰めですが、カンテサンスではタルト仕立てで、冷前菜として提供されました。リンゴの層とサクサクタルトの層が上品で、梨は真空パックでジュースに浸透させて、透明感のある仕上がりに。
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マナガツオ オレンジピール トマト カンパリのソース
⇨決して高級食材ではないのですが、それを一流料理に仕上げる技を見せつけられました。ふんわりソテーされたマナガツオには、オレンジの酸味を合わせ、付け合わせにはカボチャやパルミジャーノチーズの旨味とのコラボレーションが素晴らしかったです。
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ビゴール豚のロースト ヴェーアルマニャックのソース
⇨フランス、ロワール地方の「ビゴール豚」(黒豚)を大きな塊でロゼ色に焼きます。アルマニャック、蓮根、ポワールのソースで頂きました。日本の豚とは香りが全然違います。一体何を食べさせたらこうなるのかしら。これはまた食べたい豚肉でした。
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コーヒー オールドリカールのソルベ
⇨フランス人が大好きなリカール(ハーブ)という薬草の入ったお酒にコーヒーを合わせてシャーベットに。これなら私にもできるかと思ったら、リカールは特別な古酒を使っているそう。残念!
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発芽玄米のリオレ 武夷岩茶のグラニテ
⇨簡単に言うと、お米のミルクプリン。秋田こまちの発芽玄米を使っているそうで、やっぱり日本人は米が〆にあると落ち着きます!
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チュロス 焼き芋 黒糖クリーム
⇨揚げたチュロスに紅はるかの焼き芋、黒糖エキスが入って、見た目は高級なデザートなのですが、誰もが懐かしいと感じるデザートに。
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メレンゲのアイスクリーム
⇨石川県能登半島の海水を使用して、塩味を付けているので、まろやかです。冷凍食品にして販売してほしいとお伝えしたら、カチコチではなくふんわりとした溶け具合もカンテサンスの調理テクニックなので、再現が難しいそうです。
一流料理人の技は、食べたからと言って、再現するのは難しいのですが、美味しいものを食べたい、作りたいと思った方の参考になれば幸いです。