都内では、日本全国の自治体によるPRイベントが行われていますが、Forbes Travel Guideフォーブス5スターホテルが行ったイベントは山梨県の農・食・観光ブランディングとしても、大成功だったのではと思う素晴らしい内容でしたのでご紹介します。
今回行われた山梨県のイベントは告知されてから、数日であっという間にSOLD OUT。コロナ対策が終わり、パーティション無しで、久しぶりに1テーブル8名、300名以上の大宴会でした。
地方創生の仕事をしていると、都内有名ホテルでPRイベントをしてみたいと言われることが多いのです。主催がつい考えてしまうのはPRイベントだから参加費を安くしなければとか、ふるさとレストランの仕組みで無料ご招待で、となります。
しかし、誇るべき食材やワインがあるなら、業界のキーマンを集めて、今後につながる収益性のあるイベントにしたいですよね。今回、山梨県は4万円以上の超高価格参加費にも関わらず、山梨県にゆかりのある方はもちろん、都内在住の美食家や、ワイン愛好家など、山梨県の良さを訴求したい客層を集め、県知事自ら訴求ポイントを伝えられるパーティを開催しました。企画、サーヴィス、料理も全てイベント内容が素晴らしかったので、末席からのレポートです。
プロデューサーは「はじまりの食卓」 宮下 大輔氏
山梨県知事の長崎幸太郎氏、パレスホテル東京 吉原 大介社長の挨拶もあり、豪華なパーティでした。
今回の目玉は、1923年に山梨県で創業したグレイスワイン(中央葡萄酒株式会社)が100周年を迎え、市場に出回ることの少ないヴィンテージワインや100周年記念ラベルの限定ワインをはじめ、料理に合わせた貴重なワインが振る舞われました。
グレイスワイン ワイン醸造家 三澤 彩奈 (みさわ あやな) 氏
中央葡萄酒株式会社 (グレイスワイン) は1923年に山梨で創業し、今年で100周年。ワイン醸造家である三澤 彩奈さんはボルドー大学醸造学部、ステレンボッシュ大学院に留学後、世界各地のワイナリーで研鑽を積み、2008年グレイスワイン栽培醸造責任者就任しました。
さらに、フランス栽培醸造技術者資格取得。2014年、世界最大のワインコンクール「Decanter World Wine Awards」にて、日本ワイン初の金賞を受賞。以後、6年連続金賞受賞で注目の女性醸造家です。
中央葡萄酒株式会社は、山梨県甲州市勝沼町にグレイスワイナリー を、山梨県北杜市明野町にミサワワイナリーを持っています。また、ミサワワイナリーには自社畑もあり、今回のワインは自社畑で作らられた葡萄を使っていたそうです。
1923年に初代 三澤長太郎氏が勝沼町で創業し「長太郎印葡萄酒」発売したところから中央葡萄酒は始まりました。1953年に三代目 三澤一雄が中央葡萄酒株式会社を設立し、現在に続くワイナリーの土台を築きました。この年、ワインブランド「GRACE(グレイス)」も誕生しました。「グレイス」とは、「品格」という意味です。その意味の通り品格あるワインを造りたいと名付けたそうです。
山梨県を代表されるシェフ2名とパレスホテル東京2名の合作の料理をご紹介します。
ワインに合わせた料理は食材の良さはもちろん、火入れ、ソースも完璧。この大宴会にも関わらず、甲州ワインビーフの絶妙な火入れや、美しいお皿に盛られた繊細な仕上げなど、職人技の魅力を存分に味わうことができました。
アミューズブーシュ<パレスホテル東京齋藤正敏総料理長>
「杜苑と山梨の野菜達山梨産山羊のミルクのブランマンジェ」
パレスホテル東京の契約農園はじめ山梨から届く新鮮な野菜を、同じく山梨の山女魚のアンチョビを使ったシーザードレッシングや春菊のピューレの香りが良く、爽やかな山羊ミルクのブランマンジェをかけて混ぜていただきました。ビーツやジャガイモ、アスパラガスなど、野菜が新鮮で甘く美味しかったです。
前菜 <La Cueillette 山田 真治シェフ>
「甲斐路シャモと小松菜のショーフロワ」
山梨・八ヶ岳の地鶏「甲斐路シャモ」を、ささみ・もも肉のムース・白レバーの3層に重ね、鮮やかな色合いの小松菜のピューレと、うどや山菜などがこれから迎える初夏を演出。凛とした美しさにため息の出る逸品でした。
前菜 <TOYOSHIMA 豊島 雅也シェフ>
「山のパテアンクルート ジビエ サラダ ピクルス」
シェフ自ら山梨で獲ったジビエは数種類使っているそうで、パテアンクルートは食べているうちに味が少しずつ変わります。グレイスワイン ワイン醸造家 三澤 彩奈氏のお母さま作の干し柿をパテのアクセントに。お母様は立教大学卒だと、彩菜さんに教えていただきました。クラシックな料理に、地の食材を活かし仕上げました。
魚 <山田シェフ・豊島シェフ 合作>
「八ヶ岳湧水鱒の低温調理 アスパラガスとブラッドオレンジ2種のソース」
塩漬けにした新鮮な鱒を燻製にかけ低温調理、爽やかな山梨市・矢崎屋ファームのブラッドオレンジのソース、オランデーズのエスプーマを添えてありました。野山の風景をイメージしたピクルスも相性抜群で、鱒のいくらがキラキラ光ってました。
肉 <山田シェフ・豊島シェフ 合作>
「甲州ワインビーフフィレ肉のロースト キュヴェ三澤赤ワインのエッセンス 山のアクセント」
ワインの絞りかすを肥料として育てられた「甲州ワインビーフ」を、キュヴェ三澤の赤ワインで香りづけし、セミドライ葡萄を合わせたクラシックなソースで頂きました。山菜(わらび、竹の子)のほのかな苦味をアクセントに和の春を感じる料理でした。
デザート <パレスホテル東京 窪田 修己シェフパティシエ>
「山梨産さくらんぼのデクリネゾン」
甘酸っぱい山梨のさくらんぼを様々なテクスチャーで楽しめるデザート。コンポートとフレッシュのさくらんぼに、ソルベやさくらんぼ型のムース、蜂蜜とキルシュを効かせたなめらかなクリームを添えました。飴細工も可愛らしかったです!
ワインのメニュー
- グレイス ロゼ 2022 (三澤農場 / メルロ、カベルネ ソーヴィニヨン、カベルネフラン)
- Grace Blanc de Blancs 2015 (三澤農場 / シャルドネ)
- あけの 2020 – グレイスワイン 100周年記念ラベル (三澤農場 / メリタージュ)
- 三澤甲州 2021 (三澤農場 / 甲州)
- キュヴェ三澤 プライベートリザーブ 2009 (三澤農場 / カベルネ ソーヴィニヨン)
星シェフのパンには、ファーム田中屋さんの小麦粉、東京西洋野菜研究会のビーツが使われました!
「La Cueillette」オーナーシェフ山田 真治氏については詳しくは下記をご覧ください!
「TOYOSHIMA」オーナーシェフ豊島 雅也氏
2022年ゴエミヨ「テロワール受賞」のシェフです。ぜひ訪問してみたいですね。