初日の食団連、2日目「日本の食と観光の未来」ステージ、たくさんのご来場に感謝いたします!
「日本の観光産業における食の重要性」
イタリアからJIEN斉藤由佳子さん、HAL YAMASHITA東京 山下春幸シェフのお話は、日本の食の体験のポテンシャルの高さや、海外から見て、憧れを持って私たちの文化を学びたいと来てくださるトップシェフや研究家たちがいることを教えてくださいました。
そして1万ドル(約149万円)迎賓館のランチ会や、30万円の味噌づくり体験など
唯一無二の食の体験が実現できることや、
地方は「なんにもないところ」ではなく
「日本人の普段の生活の中に豊かな発酵食があり、営みを守る神さまがいて」その生活の中にそっとお邪魔したいと思っている外国人が多いことを教えてくださいました。文部科学副大臣の今枝宗一郎さん(39歳)は浅井さんの同級生。垣根をこえて、皆で変えていこうという若く優秀な政治家の後押しもいただきました。
「シェフと生産者が考えるガストロノミー」
試食付のステージは、伊勢すえよし田中佑樹さんと韓国料理人チョンテウさんの若い料理人と。
農業体験を通じて、生産者の苦労や収穫の喜びを知り、それを料理に伝えていくことが必要だということを20代、30代の料理人の目線で語っていただきました。
東京の料理人は生産者との距離が遠いのですが、自ら足を運ぶことの大切さを若いお二人から学ぶことができ、試食でもその想いが伝わり、会場との一体感が素晴らしかったです!
サスティナブルレストラン協会下田屋さん、フィリッポの岩澤さんにもお越し頂きました。
立教大学のインターン生や、料理人のお弟子さん3名も合わせて、配膳などスムーズに行うことができました。
「地域食材とオーガニック食材の活用」
やまけんこと、山本謙治さんと、アルファフードスタッフの浅井紀洋さん、パレスホテル東京の星敏幸シェフさんにご登壇いただき、エシカル、オーガニックについて詳しく解説をしていただきました。東京西洋野菜研究会のビーツ・ケールを使ったフォカッチャは、北海道ファーム田中屋の小麦と、東京都の小麦を使用。浅井さんのナッツも好評で、エシカルでさらに美味しい試食に大満足の来場者。北海道や、東京都の生産者はもちろん、都庁や東京都農林水産振興財団の方々も多数ご参加いただきました。
外資系はもちろんですが、日本ブランドのホテルも、エシカル、地産地消に積極的に取り組んでいきたいと、真剣に企業として考えていることが伝わりました。
「国際観光都市の食の多様性対応と海外情報発信」
オリンピック前から始まった台東区の飲食店向けハラール対応支援は、観光客の増加と共に今年都内全域に広がろうとしています。
難しくないし、食べることが好きな人たちをコンビニ食で帰らせるのではなく、飲食店で食べられるようにして欲しいというお話や、御徒町にモスクができることや、ハラール対応の飲食店に観光客が訪れている事例など、とてもわかりやすい解説でした!
旭川市や兵庫県など、地域を観光で盛り上げようと、活動をされている方が多く参加してくださいました。日本の食を世界中の人に楽しんでいただきたいですね。
私と一緒に仕事をしている池田祐希乃さん(20代)の視察所感レポートをご紹介します。伝えたかったことを理解していただき、安心しました。フィードバックに感謝です!
2024年2月14日
ホテルレストランショー@東京ビックサイトへ伺いました。
イベントステージのトークセッションを3つ聴いて大きく感じたことは“循環”でした。
観光に限らず、全てのビジネスにおいてこの循環の形が出来ていることをまずは目指していこうとしている姿が目に浮かびました。
第一部のセッション「日本の観光産業における食の重要性」では、HAL YAMASHITAの山下春幸シェフ、イタリアでご活躍のJIEN 齋藤由佳子さんの世界でご活躍のお二方のお話しでした。中でも印象的だったのは、日本の味噌作りや藍染めなどの体験を交えたツアーを組んで、それが30万円であっても海外から申し込みがあること。迎賓館を活用しようと、1万ドルのランチ会の開催をし、満席だったこと。これらのエピソードがとても印象的でした。
なぜなら、値段は“モノに対して付く”価値観は少しずつ薄れてきていると感じたからです。1つのランチ、1つの味噌作り体験、だとしても、その場所・土地の歴史、雰囲気がいくらでも付加価値になる。各自がモノが売れる環境になっているからこそ、自らの価値は自ら決めていく。ただし、もらい過ぎてもいけない、もらわなさ過ぎてもいけない。これが、まず綺麗な循環の形を作る1つの要因だろうと思いました。
第二部、「シェフと生産者が考えるガストロノミー」では、伊勢すえよし田中佑樹さん、韓国料理人チョンテウさんの、料理人2名によるトークセッションでした。ここでは、料理人、生産者、消費者の3者の循環を考えさせられました。もちろん、野菜は土や水、空気の循環の結果生み出されます。その循環を、産地に行って感じる。そして、厨房に持ち帰り、料理という形に換えていく。そして、消費者の口に入る。さらに、土地の風景や情報を料理人の口から語られることで、消費者の脳内にイメージされる。これも一つの循環の形。
一つ一つの小さな循環と、一筆書きのようにつなげる循環。これらが合わさることで、大きな循環をなっていく。これを少しでも体感してもらうことが、人の心を動かしたり、感動させたりする、と個人的には感じました。
そして、私と年齢が近い方々が循環を感じて、表現やサービスをされていることは、とても素晴らしいことだと感じました。私も負けていられません。
第三部、「地域食材とオーガニック食材の活用」では、農畜産物流通コンサルタントの山本謙治さん、パレスホテル東京ベーカリーシェフ星敏幸さん、アルファーフードスタッフ浅井紀洋さんのオーガニック関係する皆様のセッションでした。ここでは、地域もそうですが、地球規模での循環の話しが繰り広げられており、スケールの大きな内容だと感じました。山本さんからの、オーガニックという単語もアップデートがかかっていること。そして、その内容に日本は追いつけていないこと。これらの情報が印象的ではありました。
しかし、そんな中でも真摯にオーガニックと向き合っている、星さん、浅井さんのお話しは、ここまで見据えてオーガニック食材と向き合っておられる姿が素敵だなと感じました。
オーガニックは何故取り組まないといけないか、と考えた時に、少しでも地球環境にとって負荷が少ない形、だから必要なんだ、と聞いた時、これも循環を正常化させる方向なんだと思いました。農薬の使用はその土地に無いものを添加すること、その土地のものを使用して料理をすることは今までなかった小さいかもしれないけれど大切な循環を生み出すきっかけ。様々な物資の輸送に伴って発生する二酸化炭素量の視点から見ると、農薬や化学肥料を作り、運搬するのに発生する二酸化炭素量は、作物を作って、消費されるまでに
吸収される二酸化炭素量と比べて多い可能性の方が高いと感じます。(細かく計算はしていませんが)
その様に考えると、環境負荷は大きいと判断できます。確かに、これまでやっていなかったことに取り組むことは大変です。しかし、永遠の昨日ではなく、より良い明日にしていくために、循環の形や負荷がかかって歪んでいる箇所を是正していく取組は、大きくされている、と感じさせてもらった時間でした。
中長期的な目線で見ると、このような循環がこれからテーマになっていくのだと感じていますが、短期的に見ると人手不足や、それを解決するコストカット・業務効率化の課題が大きいのかなと、ブースの多さから感じさせられました。ただ、個人的には商売は、全てサービスから派生したものであり、効率化だけ求めた先には循環も何もないな、と感じ、寂しくなりました。食も効率だけを考えれば、サプリメントだけで栄養を取ることは出来ます。しかし、それには美味しさも感動もありません。人や土地のやり取りがあるから、感動やその先の「また来たいな」のリピートが生まれるのではないかと思います。すべてはバランスです。無茶をしてはいけない。でも手を抜いてもいけない。最大限のサービスをする、その絶妙なポイントを見つけるのが、仕事の一つの面白味なのかもしれない、とこの時間で思いました。