製造業や大規模フランチャイズの場合、一つのビジネスモデルの寿命は約30年と言われますが、
地域密着型の飲食業は6年かもしれないと感じる出来事がありました。都内で複数経営している飲食店のオーナーのお話です。
事の発端は、知り合いから5年目を迎えるある1店舗だけ売上げが落ちてきたという相談を受けました。
経営者はそこの店長の働きが悪いからと思って、「なぜ数字が上がらないのか?」と理由を責めていました。しかし、その店長に聞いても答えは出てきません。
その店長は丁寧な接客、おいしい料理を提供しその店を守っていました。常連の客を大切にすることは決して悪い事ではありませんでしたので、彼は経営者に楯突くばかり。
しかし、グループで食事に来るお客が少なくなっていたのを食い止める事はできず、収益は悪化していきました。
経営会議のたびに、感情的に怒る経営者、それを見ている周りの店長の冷ややかな目、、、とうとう、その店長は辞表を提出してしまいました。経営者にとって、右腕だった彼を失うのは非常に辛い事でした。
私がコンサルティングとして、ご相談を受けるようになってから、経営者は落ち着いて考えてくれました。もちろん、他のセミナーに参加したり、ビジネス書を読み、マーケティングを勉強していました。
そして、何回か電話でお話をさせて頂いていたある日、ようやく気付いてくれました。
「そうか…ゲームチェンジか。
顧客ニーズに合わせたコンセプトの変更、スタッフのレベルアップ、そしてマーケティング数値の把握が必要だ
あの店の数字が悪い事を責めていたなんて、愚かだった…あれは彼が悪いのではない。
数字が悪い事を責めたらダメだ。収益downは、ゲームチェンジの合図。
解決する方法は、新しいビジネスモデルの創出と、
それを生み出し、成功に導くために必要なスキルを身につけさせる人材育成だ。」
早速、部下に指示を出し、改革に乗り出した経営者。
細かい収益分析を行ったところ、単価は安いが、毎回同じものを注文して、短時間で帰って行く1、2名で来店する常連客に儲かるポイントがあった事を発見。あの店は立地は悪く無いが狭いから、立ち飲み屋にしよう。1000円で満足できる店だ。一人でも、カウンター越しに会話を楽しんでもらったり、隣の客とも会話ができるようにしよう!
半年間、悩んでいた経営者の顔に自信と笑顔が戻ってきました。
不安そうだったスタッフ達も活き活きと働き始めて、もう大丈夫そうです。全スタッフは毎日、感じた事を経営者へチャットで報告、質問、相談できるようになり、必ずフィードバックがあるので、安心して働ける環境が整ってきました。
さて、あなたは収益悪化してきたとき、どんな対応しています?
まさか、上から目線で部下を責めたりしていませんよね?
ダメですよ〜そんな事していたら、最近流行りのブラック企業と言われたり、鬱になる人が続出します。若者は売り手市場なんです。すぐに貴方のお店は人手不足に陥ってしまいます。
都内飲食店はかなり短期間でビジネスモデルを変えて行く必要がありそうです。
- 最初の2年は利益が出るまで育てて、
- 次の2年で収益を上げ、
- 収益が落ちるのを感じて、次のビジネスモデルへの転換を図るのが、最後の2年
マーケティングデータを集計し、スタッフからの報告を確認しながら、次のゲームチェンジと人材育成の準備をしておくことをお勧めします!