平成の大学生だった私と違って、30年後の令和の大学生は長時間、家にいます。インターネットが当たり前の時代、彼らにとってWi-Fi環境に居ることの方が、レポート提出でき、友人と会話もできるので、外出しているより都合が良いそうです。3度の食事は息子と一緒に作りながら、家事全般や、世の中の仕組みを教えています。今日は、そんなある日の会話から。
大学生「ねぇ、どうして日本の食品って安いの?」
母「日本は貿易自由化のおかげで、国内外から商社さんが“大量”に“安く”仕入れることができるからよ。さらに、そこから個別に配送する仕組みはとても面倒な作業がたくさんあるけれど、コンテナから荷物を取り出して、中身をチェックして、個別包装し直して、ラベル貼って、宅配業者へ依頼する一連の作業はITを使っていて、驚くほど少ない人数で処理していくのを、佐川急便さんに見学させてもらったことがあるわ。」
大学生「量が多いと安くなるの?」
母「単純に量が多いと安くなるという訳ではないけれど、船やトラック、貨物電車などの物流にはそれぞれサイズや日数、温度などの条件が決まっているから、効率的な量になるよう、最適な方法を選んで運ぶのがポイント。」
大学生「物流にもコツがあるんだね」
母「そうね。必要なときに、必要な量を買う方がロスは少ないわ。でも、運ぶ手段でかかるコストが変わってくる。だから消費者と販売側がバランスよくなるように、調整している人たちがいるの。また、最近話題の食品ロスの問題では、便利であることや、形が整っていることに重きが置かれていて、規格外や、傷が入ったものは捨てられてしまうことが問題視されている。勿体ないと思わない?」
(畑で採れた曲がったキュウリ、大きすぎるキュウリを切りながら話をして)
大学生「食品ロスって消費者だけではなく、生産者や問屋さん、みんなの意識改革が必要なんだ。」
母「そう、大量に生産されて、大量に消費されるようになると、それぞれの工程が分業化されていく。効率的に作業するためには、重要な事だけど、作り手と消費者の分断は、生産者への理解や、感謝や気持ちが伝わらなくなっているから、簡単に食べ物を捨ててしまうのだと思うわ。」
大学生「だからお母さんは、生産者さんと親しくなって理解を深めているって訳か。」
母「美味しい野菜を食べたいし、安全な野菜を作る国産野菜農家を応援するためでもあるのよ。農家さんは気象条件等によって売価が変わるから生活が不安定なの。サラリーマンと違っていて、毎年の売り上げが変わるなんて、本当に大変だと思うわ。そこで、彼らの生活を安定させるために、生産量を決めて、タネを播くところから契約する事で、安定して美味しい野菜を年間通じて食べられる仕組みを作っているのよ。野菜を決められた日に出荷できるよう育てるというのはとても難しいことで、自然に逆らうような事をすると、逆に美味しさが損なわれてしまうのよ。野菜は旬が一番美味しいし、その時期はとても短いの。だから、おいしさ優先契約で届けてもらっているの。」
大学生「野菜は工業製品では無いから、出荷日は決めにくいのか。」
母「それに生産者さんの顔が見えているからフードロスは少なくなる!日本全体の食料自給率は38%だけど、我が家は80%を超えていると思うわ。ちなみに公立小学校は地域食材60%以上を目標と定めているの。だから各地域で生産者さんから仕入れる努力をすれば、1年中、誰でも地域食材で60%は達成できるはずよ。」
大学生「でもさぁ、お母さんはやり過ぎなんだよね。野菜宅配が今日届いたけど、見沼の畑の野菜もたくさんあって、冷蔵庫に入ってないじゃない。まぁダイエットには野菜が一番だから、僕は食べるけどね!」
母「そうね。野菜エンゲル計数は高すぎるかも。さあ、一緒に夕飯を作って、このテーブルの上の野菜を全部食べましょう♪」
7月の野菜は、枝豆、モロヘイヤ、ピーマン、きゅうり、トマト、ナス、ズッキーニなど、採りたての野菜はどれも美味しくて、生のままや、炒める程度の簡単調理で絶品料理が完成です。今夜は真空ミキサーで作ったガスパチョ(トマト、キュウリ、パプリカ)を添えて、豚肉を炒めたら完成!