農林水産省が今年発表した農業総産出額(2019年)は8兆8938億円。
都道府県別の産出額、北海道がダントツの1位(1兆2558億円)、2位鹿児島県(4890億円)、3位茨城県(4302億円)、4位千葉県(3859億円)と続いて、東京都は47都道府県の最下位で234億円でした。
農林水産省 統計情報
https://www.maff.go.jp/j/tokei/index.html
しかし、統計データが最下位であることで東京都の農業はレベルが低いかと判断するのは大間違い。
消費地と近いことが強みで、科学的なデータに基づき農業をすることで、農薬使用を低減したり、畑横に設置した自販機で300円のトマトを1日に6万円分も売る生産者もいます。売るだけではなく、体験農園の施設は90箇所を超えていて、食育にも熱心に取り組んでいます。
日本全国、様々なエリアの生産者に会いましたが、東京都の生産者は頭の良い方、センスの良い方が多くいらっしゃるように感じました。その印象を裏付けるかのように、平成28年東京都の統計経済センサス‐活動調査よると、467件の農林漁業を営む事業所で3684人が従事していて、農業総産出額が234億円です。つまり1事業所あたり平均すると5000万円以上の農業生産額があるということです!狭い農地を工夫して、効率よく生産していることが裏付けられる数字です。(ほんとうでしょうか?正直、耳を疑う数字です。)
今年、東京オリンピックが開催されたので、さぞかし東京産の野菜を使って料理を作ったのだろうと思って都心部のホテルへヒアリングしたら、シェフ曰く、東京野菜を購入しようと思っても、取引のある卸問屋では購入することができなかった。と言われたのです。
え?東京都産の野菜や果物の多くは、どこへ行っているの?
ホテルで詳しくお聞きすると、その理由は、
太田市場では日本全国から東京を目指して、品質の高い野菜や果樹が集まってきます。その時、東京産野菜や果物はいわゆる産地ブランドで言うと、最低ランクなので、わざわざ卸問屋で、東京産の野菜を買う人はいません。だからホテルが東京産の野菜を買いたいと言っても、卸市場で、価格競争・ブランド競争で負けてしまう東京産は手に入れることはできないのです。卸は安く仕入れて、高く売ることで儲かるのです。仕入れが高く、ブランド力の低い東京都産、わざわざ問屋や卸は買わないという訳。
一方、東京都産の野菜・果樹は手間をかけて卸売市場へ出荷しなくても、農地の近くの住民が完熟した果樹や野菜を喜んで高値で購入します。採れたてトマトを食べることができる幸せは、スーパーに並んでいるトマトより高い値段でも買ってくれます。
そうなると、ますます生産者は、軒先販売や、お付き合いのある小売・飲食店への直売を軸に経営を展開して行くことになるのです。
さて、今回ご縁をいただいて、こんな東京都の生産者を応援するお仕事をいただきました。
7月より東京都農林水産振興財団 チャレンジ農業支援センターで、新しい販路を必要としている生産者と販路先をマッチングする販路開拓ナビゲータに就任。
https://www.tokyo-aff.or.jp/site/challenge/34178.html
早速、いくつかの生産者を訪問。
皮が薄くて甘いぷよ姫トマトや、東京産のマスクメロン、大粒で甘いぶどう藤稔(ふじみのり)、小松菜、里芋、トマト、じゃがいも、ピーマンなど、驚くほど美味しくて艶の良い野菜・果樹に出会いました。
東京都は八丈島などでレモンを作ったり、八王子で乳牛を育てているそうで、本当にバラエティ豊かな生産品が揃っています。
まだまだ、出会っていない生産者がたくさんいるので、楽しみです。
現在、私を含めて3名の販路開拓ナビゲータが活動中です。
その他、専門家登録されているデザイナーなどが生産者をバックアップして新規販路を開拓するためのブランド化、梱包パッケージのデザインやWEBサイトを作成しています。
8月24日に生産者向けセミナーを行った後、生産者のご意向を伺い、ご希望のレストラン・飲食店・ホテルなどへ、マッチングをしていきます。
コロナが落ち着くまでは、オンラインでお話を伺ったり、産品を宅配でお届けしてご試食いただくなどの活動が中心になりますが、緊急事態宣言が解除されましたら、畑の見学や、賞味会を企画し、販路開拓をしていきたいと考えております。レストラン・飲食店の皆さま、都内で行列のできる生産者はたくさんあるので、順番にご紹介します。楽しみにお待ちくださいね。
<チャレンジ農業セミナー>
都内生産者の皆さまは、ぜひご参加ください。
申し込み締切日は8月18日(水)です。
日時:令和3年8月24日(火)15:00〜16:30
場所:公益財団法人 東京都農林水産振興財団 講堂
講演内容:都内の販路を提案します。プロの料理人(レストラン・ホテル等)へ東京の農産物を販売しませんか?
講師:石川 史子
お申し込み・詳しくは下記からお願いします。