2021年「ミシュランガイド東京」から、三つ星レストランになった「レフェルヴェソンス」
雑誌やSNSなどで記事を拝見している時の印象は、現代的な感性、哲学、そしてSDGsサスティナブルな軸を持っているレストランです。一方で、グルメサイトの評価では辛辣なコメントもあり、どういうことだろうか?と思いながら、初めて食事に伺いました。
レストランで素晴らしい料理とサーヴィスを体験し、ようやく理解ができました。
レフェルヴェソンスは、例えて言えば現代アート。写真を見ていただいても、たぶん「これで三つ星?」と思われてしまうかもしれません。徹底的に国産食材を使い、シンプルで、潔いお皿です。
とにかく奥が深いと唸ってしまう料理ばかりなので、料理についての深い知識と経験、味を見分ける能力、日本伝統文化の侘び寂びへの理解あれば、その素晴らしさに感動することでしょう。今回はフランス料理コンクールの審査員をされるFシェフとご一緒させていただいたので、食事しながら講義を受けているくらい勉強になりましたが、一緒に行く相手を選んだ方が良いレストランです。
まず茶の湯の作法で、待合で囲炉裏を囲んでスタート時間になるまでお待ちします。亭主がお迎えに来て、ご挨拶し、ウェルカムドリンクカクテルをテーブルで作ります。
「定点観測スペシャリテ」蕪を複雑に火を入れて シンプルに
いつ来ても味わえるスペシャリテの蕪。産地を変えて蕪を提供するので、季節ごとの蕪を楽しめます。蕪は4時間、真空64℃で火を入れた後、鉄のフライパンでアロゼしながら焼きます。
蕪は様々な調理方法ができる食材ですが、どこを引っ張り出して料理にするのか?シェフの哲学が垣間見れます。
ピューレにするとミルキーになり、火が入りすぎると煮崩れてしまう。この蕪は煮崩れず、形をとどめています。だから見た目はシンプルですが、複雑に火を入れていて、苦味と甘味が絶妙なバランスで、ほくほくとした食感と香り豊かな蕪のスペシャリテでした。
料理はフランス料理のフルコースの流れですが、最後も日本らしく、お抹茶と茶菓子で締めのご挨拶がありました。
世界中から日本へ、ガストロノミーを愛するお客様を迎えるという事を考えて作られている料理、空間。特に日本料理伝統の引き算の美学、おもてなしの心を伝える素晴らしいサーヴィスは、世界一の称号をもつ、宮崎辰さんの指導がフロア全体に行き渡っていました。
また、生江シェフはガストロノミーでSDGs、相互理解、平和な世界を作るきっかけ作りと考えています。
<敬愛する素晴らしきArtisan(職人)たち>と書かれた日本全国の生産者への敬意を伝えるカードには、びっしりと名前が書かれていました。生産者は時々、自分達が作っている農産品がどのように料理に使われているのかを確認するために、レストランへ来るそうです。忙しいシェフが、こんな細かなことにまで時間を使うのは本当に大変と思いますが、熱い情熱が伝わってきます。
「ガストロノミーを通じて、世界中が連帯する、繋がっていく。いろんな会話が生まれて、お互いがお互いを認め合い、尊敬し合う、お互いの相互理解を深めることができる。」
私たちが食事をしていたら、3つ先のテーブルに懐かしい顔を発見しました。東京ガス時代の同僚夫妻が食事をしていて、8年ぶりでした。リアルで食事をすると、素敵な偶然がありますね。
ランチ・ディナー共に同じコース。コロナ禍にもかかわらず、平日ランチは満席の大人気のレストランです。
店名:レフェルヴェソンス
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布2丁目26−4
http://www.leffervescence.jp/ja/