「ねぇ厨房図面見てほしいから、この後、時間ある?」
知り合いの店へ食事に行くと、シェフに呼び止められることがあります。
皆さんが不思議に思う、私がトップシェフと仲良しなのは、2015年まで「厨房女子」だったから。厨房図面を見てアドバイスしたり、厨房機器メーカーを紹介する仕事をしていました。脇屋シェフのTurandot臥龍居や、濱﨑シェフの厨房機器選びもお手伝いしました。
*昔「厨房女子」⇨ 現在「厨房オタク」です(もはや女子ではない。笑)
「きゃー美味しい!」って言いながら、普通にSNS投稿をしている人を装っていますが、加熱調理・冷機器は何を使っているのか、厨房機器メーカーや設計、衛生管理状況、調理場の人数、サーヴィスレベルなど、飲食業として基本的なことをチェック。インターン生に教えたり、学校等で解説することもあります。また、立場上、シェフから直接話を聞けるので、食材や調理方法によって変化する香り、味、色、形なども学ことができ、HilltonグループFBマスターズコンクール審査員をさせて頂いたこともありました。仕事で食べる経験が、その後の私の財産になっていることに感謝です!
厨房機器は主要なメーカー、輸入販売店は国内40社ほどあり、プロの調理を助ける様々な機器を製造、輸入販売しています。料理や食数、業態などにより、同じ料理でも使う厨房機器が変わります。効率よく調理するには、厨房機器選び、厨房設計をしっかりと考え、対策することが重要です。
今回はフランス料理には欠かせないガスレンジの勉強会で、コメットカトウさんに伺いました。創業102年のガスレンジ老舗企業です。ものづくりに対する想いや充実の社員教育、そして内製率の高さを実際に見学させていただきました。
株式会社コメットカトウ (本社・工場)
〒495-8517
愛知県稲沢市祖父江町甲新田イ九ー65
フランス料理のシェフ達はこのガスレンジが無いと料理が作れません。とても大事な相棒です。コメットカトウ製ガスレンジは有名なフレンチシェフが使う厨房に設置されています。
オテル・ド・ミクニ
セルリアンタワー東急ホテルクーカーニョ
セントレジス大坂
フォーシーズンズホテル京都など、
そんな「ヘビーデューティガスレンジ」の特徴について、若手社員の皆様と一緒に勉強。機器選定やメンテナンスのポイントについて、実物を見ながら学んでいきます。この徹底した社員教育や、徹底した長年愛される信頼のブランドを作っていくことを学ばせていただきました。
コメットカトウ 製品一覧
https://www.cometkato.co.jp/products/products/
勉強会後は、生産技術部統括マネージャー近藤三郎さんのご案内で、工場見学です。スチコンやガスレンジはもちろん、ステンレス板から、機器を加工するまでの流れ工程を見せていただき、最後に新しく完成した新工場も見学させていただきました。
広い敷地で1000種類以上、少量多品種の製造をされている工場はエアコン完備の快適な環境で、働きやすさを考慮した設計でした。この人材難にも関わらず離職率は少ないそうで、ベトナムからの若い研修生が丁寧に溶接をしている姿も印象的でした。
コメットカトウの有名な厨房機器と言えば、某ハンバーガーチェーンの美味しさの秘密、ハンバーグパテを焼く「グリドル」です。他社との大きな違いは、プレートの中心部に温度センサーを入れるための「穴」を開ける特殊な機械です。普通のメーカーは、温度センサーをグリドル底面に貼っているので、パテを乗せた時の温度変化を検知するまで時間がかかりますが、グリルプレート内部に埋め込むことで、限りなく調理面に近い温度を測定し、コントロールができます。これは自社で加工しているからできる技であり、料理人が失敗なく調理することを助けてくれます。
ガス赤外線グリドルについて、詳しくは下記URLをご覧ください。
ガス赤外線グリドル
また、フライヤーは原油価格高騰に伴い、油濾過機能付が売れているそうです。調理油を再利用することで、コスト削減が実現できます。価格高騰に対応しようとする飲食業の皆様を、縁の下から支える商品開発力はさすがでした。
今回、コメットカトウさんの社員教育や、部品から自社で加工しているものづくりの現場、素敵な社員さん達が和やかに働いている姿を見ることができました。良い会社は、良いご縁があり、素敵なお客さまと長くお付き合いすることで、堅実に成長ができることを学びました。
コメットカトウ 加藤愛一郎会長、野々部正幸社長、池田隆之営業本部長、東京支店支店長の大池寿佳さん、社員の皆様、とても勉強になりました。ありがとうございました!
トップ写真は、1968年製の炊飯器とロティサリーオーブン、オシャレです!