赤坂は東京の中でも、高級なお店が集まる場所です。赤坂という地名の通り、坂の多い街なのですが、「松川」は一番高い場所にあるアメリカ大使館庭園の横道にあり、奥には常國寺があるだけなので、目の前の道を通る人も少なく、静かな都心の一等地にあります。
贅を尽くした日本料理を提供している松川忠由氏は、滋賀県の名門料亭「招福桜」、ミシュラン常連の「青草窠」(広尾)でも料理長だった方とのことですが、料理の完成度の高さはもちろん、一度食べたら忘れられない料理ばかりでした。
あまりに予約が難しいため、レストランランキングには掲載されない知るひとぞ知る「松川」の予約枠があるというSさんにお願いしたのは約1年前。同僚の妹さんが松川氏の奥様だから予約ができたとおっしゃる美食家で、こんな素敵なご縁が無ければ食べることができない「松川」レポートです。
料理のお味は関西風?と思いつつ、やや日本海側の雰囲気を感じるものが多かったのはお出汁に昆布を多めに使われていたからかもしれません。松川氏の料理の原点は滋賀県です。以前、滋賀県のお仕事をした時に、北前船の話や、北海道から上質な昆布が届く物流の拠点であること、発酵食品を上手に活用している地域であることを思い出しました。
上品かつ繊細で、お料理に合わせて出汁を使い分けされています。高級食材と職人技の豪華な皿には、飽きさせない演出が随所にありました。
伊勢海老、毛蟹、松茸、鯛、ウニ、鮑、グジ、鮎、近江牛、イチヂク、鱧、いくら、カラスミ、シャインマスカット
支払額は7万円を超えましたが、新幹線や飛行機に乗って滋賀県、北海道、石川県へ旅行をしたと思えば、贅を尽くした日本の美味しいものがこの店で全て食べられるので、安いかもしれません。一年に一度くらい、自分へのご褒美で伺いたいと思う究極の日本料理でした。
9月ディナー会食 個室。お茶室の雰囲気でした。
店名:松川
住所:東京都港区赤坂1-11-6 赤坂テラスハウス 1階
現金のみ ¥67,500~
日本料理『松川』 松川氏は28歳の若さで、滋賀県の名門料亭「招福桜」の料理長になった料理人。ミシュラン常連の「青草窠」でも料理長を勤めらられたと書かれていたので、調べてみたら、「招福桜」出身者メンバーが「青草窠」を支えているとのこと。
青草窠は2008年に東京・天現寺の境内で開業
代表取締役 永坂早苗(ながさかさなえ)さんは、1953年静岡県生まれで、日本女子大学の一貫教育で大学を卒業後、結婚後渡米し海外経験で日本文化の素晴らしさを再認識し、美術、工芸、建築等多岐に亘り愛好された方。茶道を武者小路千家千宗屋氏に師事。
永坂早苗さん著書「晴れの日本料理 青草窠のひと刻」2018年3月刊行 3630円
https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001402/
四季折々の美しい料理、器、軸など、日本文化の豊かな真髄に触れることができる写真本です。日本語と英語で解説が書かれているので、青草窠が海外からも評価が高いのも納得です。日本の伝統文化を海外へ正しく発信しようとされている姿勢と、そんな環境で学ばれてきた松川氏の料理は、外国人にも分かりやすい古典的な日本料理でありながら、表現方法に現代のエッセンスを取り入れていて、フランス料理と通じるところがあるように感じました。
招福楼 本店
住所 〒527-0012 滋賀県東近江市八日市本町8−11
青草窠
住所 〒106-0047東京都港区南麻布4-2-34