私が「焼き鳥」の話をするのは、初めてかもしれません。
大衆料理のイメージで、自ら予約をすることはありませんでしたが、お誘いいただき、今月は2回も焼き鳥屋へ行きました。
焼き鳥は料理としても奥深く、日本料理の技や、独特の演出がある食べ物であり、多くの美食家が焼き鳥屋に足繁く通っていることを知りました。
素材の産地・質、カット方法、サイズ、味付け、串の種類、串の刺し方、炭の種類、焼き方、焼き加減、等など、様々なスタイルの調理方法や素材があり、産地の特徴や焼き加減で、ずいぶん雰囲気が変わります。
今回ご紹介するのは、渋谷の「とり茶太郎」です。
店主の金子拓也さんは1975年東京生まれ。大学の経営学科を卒業後、さまざまな仕事を経験し、いつか自分の店を持ちたいという夢を実現するため29歳で焼鳥の修行を始めました。西荻窪「やきとり戎」や、大塚「蒼天」など焼鳥の名店で修業を重ね、2013年に「とり茶太郎」をオープン。さまざまな鶏と美酒を味わえる焼鳥店は美食家も一目置く存在になり、常連しか予約の取れない人気店になりました。
「とり茶太郎」の焼き鳥には、名古屋コーチン、一黒シャモ、かすみ鶏、比内地鶏、ほろほろ鶏など、日本全国の有名な産地から鶏肉を仕入れて、地域の食材の良さ、特徴を引き出しながら提供しています。
11席あるL字型のカウンター席は、業界人っぽい人たちで満席。17:30の一斉スタートです。私は運よく、店主、金子さんの目の前の席に座らせていただきました。
炭火の前で、手際よく焼き鳥を焼く姿を眺めながら頂くと、おいしさは格別です。つい先日、博多で「八兵衛」に寄った際も、焼き台を囲むカウンター席の中で、焼き場の目の前に座りました。夕方にもかかわらず満席で、博多名物の鶏皮が焼酎ソーダ割りに合いました。
大衆焼き鳥屋は、カウンターテーブルの奥行きが狭いことが多いのですが、「とり茶太郎」は、寿司店のような高級感を感じるカウンター席で、内装がシンプルで美しく、店内に飾られていた野菜等もプリッとしていて、素材の良さや、丁寧な仕事を感じる落ち着いた印象のお店でした。
店の客たちは、楽しそうに会話を楽しみ、お酒を飲んでいます。活気があり、美味しい料理を食べながら、偶然隣り合わせた人との会話も弾みました。
日本のビジネスシーンでも、スーツを着ている人は少なくなり、カジュアルな服装で仕事をするのが一般的になりました。接待やビジネス会食は高級な店の個室で、他のお客様とは隔離するのは、もはや昔のこと。焼き鳥を食べながらビジネス商談、接待をしている人が多いことを実感しました。
肝心の料理の話に戻ります。
料理はおまかせコースの1本で、席に着くと、順番に料理が出てきます。前菜がとても美味しくて、鶏の白レバーは想像以上の柔らかさ、フォアグラのような食感でした。
焼き場の前にいたので、思わず見入ってしまうほど手捌きの良い金子さん。炭の置き場所を変えながら、焼き具合を見て、焦げてしまったところは丁寧にハサミでカット。皮目はパリッと、中はジューシーに焼いていきます。
焼き鳥をサッとタレの壺に串をくぐらせ焼き台に乗せた瞬間、立ち上がる水蒸気と、赤く光る強火の炎が食欲をそそります。
串数が多く、ボリューム多めでしたが、美味しくて締めの麺まで、完食しました!
お酒は、各種美味しそうな銘柄が揃っていて、今回はビール、ワイン、イチローズモルトのハイボールを頂き、会計は2万円/人くらいでした。
とある美食家さんに連れて行って頂いたのですが、常連さんで予約がいっぱいとのこと。残念。。。
機会があったら、また行ってみたいお店です!
【店名】とり茶太郎
【住所】150-0032 東京都渋谷区鶯谷町7-12 TAKビル 1F
【電話番号】03-6416-0364
【公式ホームページ】
https://torichataro8888.gorp.jp/