今回のアスコット会では、井部さんを中心とした美食家の皆さまと、食材の目利きと調達を担う購買支配人・鶴さん、そこから生まれる素材を最高の形へと昇華させる石原総料理長、そして洗練されたワイン選びとサービスを提供する鈴木シェフソムリエの連携により、“東京で味わう最高峰のフランス料理” が実現しました。藤崎総支配人のご挨拶でスタートした今回のテーマは 「ジビエ」。希少な国産食材、確かな技術、そして素材を尊重する哲学が詰まった至高のランチ会となりました。

1. 素材への探求心が支えるアスコット会の哲学
アスコット会の料理を支えているのは、徹底した食材選びへの情熱です。
今回使用された食材は、鶴支配人が国内の各産地へ直接と話をして、状態を見極めて仕入れています。

◆ 産地と生産者への深い敬意
- 石原総料理長は、日頃から国内の生産者を訪問し、素材が持つ力を理解したうえでメニューに落とし込んでいます。
- 鶴さん(購買支配人)が選び抜いた福島県相馬産の天然平目は、活け締めのタイミング、縁側の状態、身の厚み、腹のスリ具合まで細かく確認された逸品。
- テーマ食材である雉は、高知県梼原町で椎茸とぶどうの搾りかすを餌に育つ、物語性豊かな一貫生産の雉が使用されました。
素材ひとつひとつに「背景」があり、高揚感のあるお料理ばかりでした。
2. 料理人たちが創りあげる “物語ある一皿”
選び抜かれた食材は、石原総料理長とキッチンチームによって、フランス料理の品格を備えたお皿へと仕立てられます。
◆ 毎回、新たな発見がある一皿
- 天然平目のハープオイルコンフィは、セルフィーユやレモンバーム等の香りを移した特製オイルでやさしく火入れ。
- メインの雉料理は、胸肉(シュプレーム)をトリュフバターで低温調理した後にロティし、もも肉(キュイス)は赤ワインでじっくり煮込むという、部位ごとの魅力を最大限に引き出す調理法で提供されました。
繊細な素材を深く理解し、最適な技術で仕上げる職人仕事が際立っています。
3. 素材を余すことなく活かす “もったいない” 哲学
アスコット会を象徴するのが、素材への敬意と持続可能性の意識です。
- 鶴さんが選んだ平目の縁側は、その質が素晴らしかったため、前菜の牡丹海老マリネに昆布締めとして添えるという、創意あふれる形で活かされました。
- 一般的に余りがちな雉の「もも肉」は、「手間をかけて赤ワイン煮込み」として提供され、1羽丸ごと美味しく味わえる構成に。
「料理は素材と向き合う姿勢から始まる」——そんな想いを感じるコースでした。
Menu — 当日の特別コース
◆ 北海道羽幌産 牡丹海老のマリネ ライム風味 キャヴィア添え
軽く炙った牡丹海老をマリネし、キャビアとともに。
昆布締めにした天然平目の縁側、網焼き帆立をわさび風味のビネグレットで合わせた贅沢な前菜。
◆ 各種ジビエ入り テリーヌ・メゾン<Blanc Rouge 風>
子猪・蝦夷鹿・雉もも肉・子牛・豚肉・フォアグラ、そして秋田産椎茸の旨味が一体となる石原シェフの愛情が感じられる力強いテリーヌ。
◆ 和牛と季節野菜のポーテ風コンソメスープ
柔らかく煮込んだ和牛と牛蒡、人参、蕪など旬野菜が香る、贅沢なコンソメベースのポトフ仕立て。松茸も忍ばせてあり、驚きました!
◆ 天然平目のハープオイルコンフィ
福島県相馬産の天然平目を、ハーブの香りをまとわせた特製オイルでしっとりとコンフィに。
◆ たらば蟹とキャロット・ジョーヌのコンディマン
粗く刻んだ人参をやさしく火入れし、蟹の茹で汁の旨味とミネラルを合わせた香り高いコンディマン。
◆ 高知県梼原町産 雉 二種の味わい(シュプレーム & キュイス)
胸肉(シュプレーム):トリュフバターで低温調理し、仕上げにロティ。白ワインのグリルソースとともに。
もも肉(キュイス):赤ワイン風味でソテー後、赤ワインの煮込みに。自家製ベーコンときのこを加えた深い味わい。

◆ 軽やかなマロンのガトーと季節のフルーツ
オーガニックメープルシロップのグラス添え
香り豊かな栗のガトーとメープルのアイス、マカロン、オランジェット。

Wines — 当日を彩ったワイン
- Le Brun de Nouville Extra Blanc(シャンパーニュ)
単一品種で造る希少な泡。小規模生産者による繊細さが魅力。 - Château de Beauregard-Ducourt 2018(赤)
テリーヌに合わせた軽やかな赤。メルローとカベルネの心地よい渋味が印象的。 - Villa Maria Earthgarden Sauvignon Blanc 2022(白)
NZのオーガニックワイン。爽やかで清らかな香り。 - Fronton Chemin Faisan 2020(ジビエに合わせた赤ワイン)
雉のラベルが印象的。生態系に雉が生息する土地でつくられたフランス産ワイン。
温度の変化による香りの違いも楽しめました。
今回もアスコット会は、
「食材」「技術」「哲学」 が三位一体となった、芸術作品のようなフランス料理コースでした!次回も楽しみにしています。
